2013 Fiscal Year Research-status Report
生理機能解明を指向したウーロン茶ポリフェノールの生成機構解明及びその合成
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24780123
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
柳瀬 笑子 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (60313912)
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Keywords | Oolongtheanin / Catechin / Dehydrotheasinensin / Prooolongtheanin / ウーロン茶ポリフェノール / 酸化反応 |
Research Abstract |
ウーロンテアニン類の生成機構の解明を目指し、本年度はカテキン類であるエピガロカテキンガレート(EGCg)およびエピガロカテキン(EGC)を用いて酸化反応中の変化について機器分析等を用いて詳細に追跡した。その結果、EGCg及びEGCは、3段階の反応を経てウーロンテアニン類へと変換されており、2種の中間体I、IIの存在が明らかとなった。各種機器分析及び誘導化反応を用いてその単離、構造決定を行ったところ中間体Iは、同じくウーロン茶中から単離されているテアシネンシン類の中間体として報告されているDehydrotheasinensin CとA であることが明らかとなった。このことは、ウーロンテアニン類とテアシネンシン類が同じ中間体を経て生成されることを示している。また、中間体IIは、分子内にラクトン構造を持った新規化合物であり、Prooolongtheanin類と命名した。さらにNMRチューブ中で中間体IIと水を反応させ、反応経過を追跡したところ、さらに中間体IIIの存在が明らかとなり、その構造決定を行った。これら中間体I、II及びIIIの構造、及びGC-MSを用いた脱二酸化炭素の確認の結果からEGCg及びEGCからウーロンテアニン類への生成機構は、以下のとおりであることが明らかとなった。①カテキンの酸化的カップリングと分子内環化による中間体Iの生成、②脱水及び転位反応による中間体IIの生成、③ラクトン部の加水分解及び再環化反応による中間体IIIの生成、④脱二酸化炭素及び酸化反応。さらにこの生成機構を元に、合成反応条件を詳細に検討した結果、2%程度だった収率を35%まで改善することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウーロンテアニンの生成反応をEGCg及びEGCを用いて詳細に追跡し、3つの生成中間体の単離構造決定に成功した。さらにそれらの構造及び、それらを用いた誘導化反応等の結果から、当初推定していた生成機構の立証に成功した。さらに、反応条件の詳細な検討により、2%程度だったカテキンからのウーロンテアニンの合成収率を約35%まで改善することに成功している。以上のことから、研究の進捗状況は、計画通りであると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、以下の3点について研究を進める。 1.EGCg同士及びEGC同士のホモダイマーについては、本年度確立した合成法を用いて、活性評価に必要な量を合成する。 2.1段階目の反応条件を詳細に検討することにより、EGCgとEGCからなるヘテロダイマーの選択的な合成法の確立を目指す。 3.1、2で得られる化合物を用いて、烏龍茶で注目されている抗肥満活性、コレステロール吸収抑制作用をin vitroで評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度の結果より、今年度の研究計画が大幅に変更となり、購入の必要のあった物品(試薬等)の一部が不要となったため見積もりよりも購入額が低くなった。 来年度の計画にある、抗肥満活性、コレステロール吸収抑制作用をin vitroで評価するためには、多くのサンプル調整が必要になる。当初はオープンカラム等の手法を用いる予定であったが、分取用に新たにHPLCシステムを導入することで純粋なサンプルをより効率的に得る。
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Research Products
(6 results)