2012 Fiscal Year Research-status Report
腸管の味覚受容体を介した機能食品因子の認識とその情報伝達
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24780128
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藍原 祥子 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (30620877)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 消化管ホルモン / フラボノイド |
Research Abstract |
本年度は培養細胞を用いて、消化管ホルモンの分泌を評価する系の構築およびホルモン分泌に関与する食品因子の探索をおこなった。その結果、ヒト結腸腺癌由来の培養細胞Caco-2で、エピガロカテキンガレート(EGCG)がGLP-1、PYY、CCKの分泌を促進することを見出した。他7種のカテキン類の効果を比較検討したところ、ガロカテキンガレートでも同様の消化管ホルモン分泌作用が観察されたが、残る6種のカテキン類では見られなかった。さらに、ホルモン分泌作用を有する化合物の構造相関を検証するため、カテキンとは骨格の異なる代表的なポリフェノールとしてシアニジン、デルフィニジン、ケンフェロール、ミリセチン、ナリンゲニンの効果を検討したところ、シアニジン類でカテキン類より弱い効果が観察され、ミリセチンやナリンゲニンには作用は認められなかった。 以上の結果は、植物由来のポリフェノールが、直接消化管の上皮細胞に作用して摂食刺激に関するホルモンの分泌を変化させている可能性を示した。さらにその作用はいくつかのフラボノイド類で共通に見られたことから、受容メカニズムが柔軟であることが予想された。すなわち作用しうる化合物は、フラボノイド骨格の2,3位が飽和結合で、化学立体構造がプラナーではないフラボノイド類であると予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始当初、消化管でのフラボノイド受容に味覚受容体が関与していることを予想したため、ヒト結腸腺癌由来Caco-2細胞のT2Rの発現をPCRによって解析した。カテキン刺激によって消化管ホルモンの分泌が確認されたものの、予想に反してカテキンに作用する受容体の存在はRT-PCRでは確認されなかった。そのため味覚受容体T2Rに対応するリガンドスクリーニングはおこなわなかった。 一方、カテキン刺激の受容メカニズムを検討するため、Caco-2のGLP-1分泌に作用するフラボノイドのスクリーニングをおこなったところ、作用するフラボノイド群から共通な構造が見つかりつつある。当初の計画とは方法は異なっているが、目的に即した研究を進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
フラボノイド類による消化管ホルモン分泌の作用を生体レベルで明らかにするため、マウスを用いて実験する。その際、食事とフラボノイドの投与のタイミングや、食事の内容についても考慮し、栄養素の吸収による消化管ホルモン分泌作用との差を明らかにする。 同時に、培養細胞の系で消化管ホルモン分泌の分子メカニズムの解明を試みる。GLP-1分泌に至る細胞内シグナリングはいまだ不明であるため、小胞の分泌メカニズムを参考して解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(4 results)