2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24780130
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 充 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (70584209)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | フェルラ酸 / アルギノコハク酸合成酵素 / 一酸化窒素 / 相乗効果 / 血管機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、これまでのエピガロカテキンガレートと炎症血管において相乗的弛緩作用を示したフェルラ酸について、その作用機序の解明を行った。フェルラ酸とエピガロカテキンガレートとの相乗的弛緩作用は、内皮除去血管において完全に消失したことから、フェルラ酸が血管内皮における炎症シグナルに作用していると考えられた。そこで、血管内皮細胞(ヒト臍帯静脈内皮細胞 : HUVEC)を用いて、TNF-α刺激に対するNO産生量を評価したところ、アセチルコリン(NO産生誘導剤)によるNO産生量は、TNF-αにより明らかに減弱した。そこで、HUVECに対してフェルラ酸を同時に添加したところ、そのNO産生量の減弱が回復した。このことから、フェルラ酸の添加が血管内皮における炎症シグナルに対して抑制的に作用することで、内皮細胞のNO産生能を回復させることが明らかとなった。次いで、内皮型NO合成酵素(eNOS)阻害剤であるL-NMMAをを添加したところ、フェルラ酸によるNO産生能の回復は完全に消失した一方、eNOSのリン酸化に対するフェルラ酸添加による影響は認められなかった。 そこで、NO産生における律速酵素の一つとして知られ、CitからのNO基質であるArgの再合成を仲介する酵素であるアルギノコハク酸合成酵素(ASS)に対する影響を評価したところ、TNF-αにより減弱したASS発現量が、フェルラ酸により回復することが明らかとなった。また、mRNAレベルにおいても回復が認められたことから、本作用は転写段階での促進作用であることが明らかとなった。このことから、フェルラ酸はTNFαにより誘導される炎症シグナルの一つであるASS発現量の減弱を回復させることで、CitからのArg(NO合成酵素の基質)産生を促進し、炎症状態の血管機能を回復させることが明らかとなった。
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