2013 Fiscal Year Annual Research Report
鉄摂取の過不足が肝臓・血液の遺伝子発現に及ぼす影響および安全摂取基準の提唱
Project/Area Number |
24780139
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Research Institution | Kanagawa Academy of Science and Technology |
Principal Investigator |
亀井 飛鳥 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー, 健康・アンチエイジング プロジェクト, 研究員 (40514112)
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Keywords | 鉄 / 貧血のない鉄欠乏 / 鉄過剰 / DNAマイクロアレイ / 肝臓 / 血球細胞 |
Research Abstract |
<貧血のない鉄欠乏の生体応答のメカニズム解明および鉄所要量の下限基準の提示> 貧血のない鉄欠乏とは、ヘモグロビンに変化がなく、血中フェリチン低下、TIBC(総鉄結合能)増加が認められる状態である。「生体に悪影響を及ぼす鉄欠乏状態を引き起こす食餌性鉄含量はどの程度か」を明らかにし、鉄所要量の下限基準を提示する目的で実験を開始した。雄性SDラットに対し、鉄含量が標準および欠乏の飼料をそれぞれ与え、3日後に肝臓および血液を採取した。その結果、鉄欠乏食摂取ラットは貧血のない鉄欠乏状態であることが明らかになった。続いて採取した肝臓よりRNAを抽出し、DNAマイクロアレイ(GeneChip Rat Genome 230 2.0 Array, Affymetrix)に供し、トランスクリプトーム解析を実施した。その結果、貧血に至らずとも肝臓は生体内の鉄量の変化に遺伝子発現レベルで機敏に応答することが明らかになった(Kamei et al., PLoS ONE, 2013)。 <鉄過剰摂取の生体応答および鉄過剰を反映するマーカー遺伝子探索> 鉄は、臓器中に過剰に蓄積されることで臓器に傷害を与える。まずは、「鉄過剰摂取が血中生化学データに影響を及ぼすか」を明らかにする実験を実施した。雄性SDラットに対し、鉄含量が標準量および過剰量となる飼料をそれぞれ与えて飼育し、定期的な血液サンプリングを実施した。その結果、鉄過剰食摂取群で有意な血中フェリチン量増加が認められた。血中フェリチンは体内貯蔵鉄量に正の相関を示すため、鉄過剰食摂取により体内の貯蔵鉄が有意に増加することが示唆された。このときの血球細胞の遺伝子発現をDNAマイクロアレイにより網羅的に解析した結果、タンパク質の合成、分解といったタンパク質の量的変化に関わる因子が変動していることが明らかになった(日本農芸化学会2013年度大会)。
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Research Products
(1 results)