2012 Fiscal Year Research-status Report
リモートセンシングデータを駆使した人工林間伐支援画像処理システムの構築
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24780145
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
村上 拓彦 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20332843)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | リモートセンシング / 空中写真 / 高分解能衛星データ / 森林GIS / オブジェクトベース画像分類 / 局所最大値フィルタ / 人工林境界 / 人工林林齢 |
Research Abstract |
本研究の目的は,リモートセンシングデータ(空中写真データ,高分解能衛星データ)の記録性,客観性,広域性に着目し,これらを用いて人工林の境界情報,林齢情報と立木密度情報を得ることである。本年度は時系列空中写真を用いた人工林の境界情報,林齢情報の抽出と高分解能衛星データを用いた密度推定に取り組んだ。 林野庁ならびに国土地理院が撮影してきた過去の空中写真の時系列解析により,林齢情報と施業区画(小班)を抽出する手法の開発を試みた。1963年から2002年の7時期の空中写真をオルソフォトに加工し,隣接する2時期をそれぞれ組み合わせ,2時期合成画像を使用して画像分類を行った。輝度値及びDSM(Digital Surface Model)の2時期合成画像の主成分分析により得られた第2主成分画像を用いて伐採地ならびに植栽地の抽出を試みた。出力結果を既存の森林GISと比較したところ,既存の森林GISの区画線の不整合や林齢の誤差を指摘することができ,提案手法の妥当性が確認された。 単木梢端抽出法の一つである局所最大値フィルタ法に着目し,GeoEye-1パンクロマチック画像(分解能0.5m)においてスギ人工林の密度推定が可能かどうか検討した。今回,フィルタサイズ,ローパスフィルタ処理の有無,ラジオメトリック分解能低減の有無について検討し,スギ人工林密度推定に及ぼす効果について考察した。3×3,5×5,7×7のフィルタサイズでそれぞれスギ樹冠の梢端を抽出し立木密度推定を行った。フィルタサイズと立木密度に負の相関関係が見られ,立木密度に応じて最適なフィルタサイズが変動することが確認された。最適なフィルタサイズを林分の状況に応じてどのように変動させるかが今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的のひとつとして掲げた「境界情報,林齢情報:戦後から現在に至る時系列空中写真を全てオルソフォトデータとして処理し,それらから多時期合成画像を作成する。この合成画像データから森林変化領域を効果的に抽出し,人工林境界とその林齢の推定手法を確立する。」について,7時期の空中写真を準備して解析を実行した。オルソフォトへの加工,多時期合成画像,その画像を主成分分析で処理すること,第2主成分画像へのオブジェクトベース画像分類,DSMの利用可能性について検討を加えることができた。また,もうひとつの「立木密度情報:空中写真データや高分解能衛星データから立木密度を推定する先行研究を参考にしつつ,人工林内の単木樹冠抽出手法を開発する。高分解能衛星データを局所最大値フィルター法で処理する。」については,高分解能衛星データのひとつであるGeoEye-1パンクロマチック画像を準備して,局所最大値フィルタ法による解析を行った。今回特に,フィルタサイズの違いについて検討した。以上,当初掲げた目的に沿ったかたちで研究は遂行されており,順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
【境界情報の自動抽出の改良】前年に検討した時系列空中写真の合成画像から自動的に境界を抽出する方法をさらに改良する。これは,この手法の再現性を高め,解析者に左右されない結果を得るために必要な処理である。この画像処理にはオブジェクトベース画像分類の手法が好適と考えている。申請者はオブジェクトベース画像分類に精通しており,これを多時期合成画像に適用するための設備的問題,技術的問題は解消されている。具体的には,オブジェクトベースのアプローチで必要となるセグメンテーション(画像分割)に必要なパラメータの検討を行う。効果的なセグメンテーションを実現するため,現有設備であるオブジェクトベース画像分類ソフトeCognition 4を最新バージョンに更新してから作業を行う。 【対象地の概況調査】前年と同様の現地調査を実施し,精度検証のための地点を増やす。林齢の信頼性を向上させる。造林履歴の明確な箇所(例えば,県行造林地)を多く含む箇所を検討する。 【新しい高分解能衛星データを用いた立木密度の推定】前年度に取得した高分解能衛星データとは異なる衛星の観測データを取得し,衛星センサの違いが立木密度推定に及ぼす結果について調べる。この際に前年に取得した画像と撮影時期,観測角が類似したデータを選択するように注意する。また,局所最大値フィルタ法以外の方法を検討する。具体的にはICT(Individual Tree Crown)アルゴリズム(Gougeon, 1995)を参考にスギ人工林に適した手法開発を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
オブジェクトベース画像分類ソフト(eCognition Developer8)の購入。新しい対象地での空中写真ならびに高分解能衛星データの購入。現地調査のための旅費。得られた研究成果は,写真測量学会,第34回アジアリモートセンシング会議(バリ,インドネシア)での発表を計画しているのでその旅費の支出。投稿論文準備のための英文校閲。
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