2012 Fiscal Year Research-status Report
葉の生理生態学的特性を利用した新しい枝呼吸能力の推定方法の開発
Project/Area Number |
24780157
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
飯尾 淳弘 静岡大学, 農学部, 特任助教 (90422740)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 枝の呼吸速度 / 葉特性 / ブナ |
Research Abstract |
平成24年度は、主として樹皮呼吸装置の組み立てと苗畑樹木を利用した装置のテストを行った。装置については、枝の温度を5℃~40℃まで自在に制御しつつ、直径が0.3cmから10cmまでの枝呼吸速度を測定できるものを組み立てた。1つの枝呼吸速度の測定に要する時間は最大で10分であり、短時間でたくさんのサンプルを効率良く測定ができる。しかし、直径0.5cm以下の細い枝(シュート)については呼吸速度が低いため、精度よく測定するには長さ10cm以上のサンプルが必要であることがわかった。成長が遅く節間の短い枝を測定する場合には、十分なサンプルを確保できない可能性がある。林床や樹冠の下部にある枝を対象に葉特性と呼吸速度の関係を調べる場合には、細い枝の測定に特化したシステムを作成する必要がある。解剖学的特性についても、切片の作成から染色、画像分析までのシステムを立ち上げた。 苗畑のサンプルを利用して、葉の特性(葉量)と枝呼吸特性の関係を測定した。従来の報告通り、重量あたりの呼吸速度は枝径が大きくなるほど低下する傾向を示した。しかし、枝径あたりの呼吸速度には大きなバラツキがあり、それは枝梢端部の葉量と関連していた。従来の枝サイズのみを利用した呼吸速度の推定方法は誤差を生じる可能性がある。その一方で、葉特性以外の要因について分析したところ、枝の齢や通導距離も呼吸のバラツキに寄与している可能性が示唆された。枝呼吸速度を規定する要因を特定するには、こうした葉特性以外の要因についても調べる必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、24年度にブナ天然林のサンプルを利用した本実験を行う予定であった。しかし、細い枝の微細な呼吸を測定するシステムの作成において空気の撹拌と温度コントロールが難しく、予想以上に時間を要した。そのため、屋外での実験は苗畑のサンプルを利用した予備実験に止まった。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)細い枝の呼吸量を測定できるシステムを作成し、あらゆるサイズのサンプルの呼吸速度を測定できるようにする。 (2)ブナ天然林試験地で、葉特性、通導距離、枝齢と呼吸速度の関係を調べ、枝呼吸のバラツキを整理する方法を考える。 (3)ブナ以外の種についても実験を行い、呼吸速度の種間差を整理する方法について考える。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)微細な呼吸速度を測定するために、高精度CO2分析計(分解能1ppm以下)を購入する。 (2)ブナ天然林試験地への旅費。 (3)呼吸測定や解剖学的特性の測定に必要な、電子パーツや薬剤などの消耗品。 (4)論文の英文校閲費や印刷費、学会参加のための旅費など、成果発表に必要な経費。
|