2014 Fiscal Year Annual Research Report
クロマツの材線虫病抵抗性発現に環境要因が及ぼす影響
Project/Area Number |
24780161
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
松永 孝治 独立行政法人森林総合研究所, 九州育種場, 主任研究員 (40415039)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | クロマツ / マツ材線虫病 / 抵抗性 / 環境要因 / 光強度 / 気温 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はマツノザイセンチュウ(以下線虫)接種実験により,クロマツにおける材線虫病抵抗性発現に影響する環境要因を明らかにすることを目的としている。今年度は光環境と温度環境の影響を明らかにする2つの実験を行った。 光環境の実験は被陰環境への応答と抵抗性の関係を明らかにするため,抵抗3家系(三崎90,波方37,田辺54)と精英樹2家系(福岡2,南松浦111)の苗木を,前期(6月上旬~7月上旬)と後期(7月上旬~8月上旬)で自然光と寒冷紗による被陰を組合せた4種の処理区(光光,光陰,陰光,陰陰)を設定して育苗した。各処理区の各家系について針葉を採取し,針葉長,針葉幅,乾燥重量を測定した後,線虫を接種して枯死過程を調べた。針葉の形態は光光区で大きく,光陰・陰光区,陰陰区の順に値が小さくなり,これはほとんど家系に依存しなかった。線虫接種後の枯死率は光光区と陰光区で有意に低く,ついで陰陰区となり,光陰区が有意に高かった。家系枯死率は三崎90で有意に低く,福岡2で有意に高かった。一方,被陰処理と家系の交互作用は認められなかった。この結果は,接種直前の光環境だけでなく,それ以前の光環境により決まる植物の状態や光環境の変化の方向性が抵抗性の発現に影響することを示す。また,この結果は遺伝的に抵抗性の高いクロマツであっても同様に生じることが示された。 温度環境の実験は人工気象装置による環境制御下において,抵抗性の波方37と精英樹の福岡2の2家系のポット苗を用いて実施した。光条件は14L10D,約30,000lx,空中湿度は75%で常時底面より給水している状態で気温について高温区(昼36-夜31(℃)),中温区(28-23),低温区(20-15)の3処理区を設けた。線虫接種後の抵抗性および精英樹家系の枯死率は高温区で94と100%,中温区で44と100%,低温区で0と0%であった。
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