2013 Fiscal Year Research-status Report
希少種ニホンイヌワシの保全-餌利用の季節的変化を考慮した生息地管理策の構築-
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24780165
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Research Institution | The Museum of Nature and Human Activities, Hyogo |
Principal Investigator |
布野 隆之 兵庫県立人と自然の博物館, その他部局等, 研究員 (60623113)
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Keywords | ニホンイヌワシ / 生息地管理 / 林冠ギャップ |
Research Abstract |
平成25年4月から6月にかけて、ニホンイヌワシの採餌に重要な林冠ギャップの空間特性を解析した。これにより、平成24年度に生じた解析の遅延を迅速に処理することができた。 平成25月7月以降は、当初計画通り、ニホンイヌワシの生息地管理プランの構築を行った。本プランは、ニホンイヌワシの採餌に重要な林冠ギャップを現状維持するための保護区づくり、および林冠ギャップの未分布域での人為的なギャップ創出を主な対策としている。 解析の結果、保護区としては、樹木の天然更新によって恒常的に林冠ギャップを形成する林齢80年以上の落葉広葉樹林帯、あるいは裸地・岩場などの地表露出帯が選定された。一方、人為的なギャップ創出の候補地としてはスギ人工林が選ばれ、その面積はイヌワシ行動圏の約20%にも達した。 上記のように、林冠ギャップが常に形成される落葉広葉樹林帯や裸地・岩場を保護区に指定するとともに、スギ人工林にて人為的に林冠ギャップを創出することがニホンイヌワシの生息地を管理する上で不可欠であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年6月までに計画の遅延を取り戻し、7月以降にニホンイヌワシの生息地管理プランを構築した。これは、本研究が当初計画どおりに進展したことを意味する。 現状を鑑みると、研究の達成度は、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度および平成25年度の調査計画をおおむね順調に遂行したことにより、主な研究結果は整った状況にある。この現状を踏まえ、平成26年度は、当初計画通りに研究成果の公表を行う期間と位置づける。 成果の公表としては、国際学会での発表および学術雑誌への論文投稿を行う予定である。国際学会での発表は、平成26年8月に開催される26th International Ornithological Congressにて行う予定である。 また、平成26年度中に学術雑誌への投稿を行うため、国際学会への参加後、投稿論文を速やかに作成する予定である。
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