2012 Fiscal Year Research-status Report
木材由来の相溶化剤による混練型WPCの物性向上に関する研究
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24780173
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
小林 正彦 独立行政法人森林総合研究所, その他部局等, その他 (00397530)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 混練型WPC / 相溶化剤 / 加溶媒分解 |
Research Abstract |
木材成分由来の相溶化剤による混練型WPCの性能向上技術の開発を目的として種々の検討を行った。ポリオキシエチレン、アルコールを溶媒に用いて木材の加溶媒分解を行い、新規の添加剤を調製した。等量のスギ木粉とポリプロピレン(PP)に、加溶媒分解木材を5-20%の割合で添加し、二軸混練押出成形機を用い、180℃の過熱下で木材率50%のWPCを製造した。曲げ試験を行った結果、ステアリルアルコールとグリセリンの混合溶媒を用いて調製した加溶媒分解木材を5%添加して製造したWPCと無添加のWPCとの比較において、曲げ強度の向上は認められなかったが、破断伸びが1.6%から2.4%に向上した。このことから、加溶媒分解木材が可塑剤として機能することが判明した。シャルピー衝撃試験耐の結果、加溶媒分解木材の添加により衝撃強度が6.7%向上することが判明した。動的粘弾性試験結果から、加溶媒分解木材とPPがある程度相溶することを確認した。実験室光源暴露試験の結果、加溶媒分解木材を添加することにより、チョーキングが抑制できることが判明した。さらに、木材の主成分の一つであるリグニンに加溶媒分解法を用いてPEG鎖を付加することにより、両親媒性リグニンを調製した。PEGとグリセリンの混合溶媒を用い、リグニン(脱アルカリ)の加溶媒分解処理を行った。反応は木材の加溶媒分解と同様の条件で行った。等量のPPと木粉に両親媒性リグニンを3-10%の割合で添加し、混練型WPCを製造した。引張試験を行った結果、両親媒性リグニンを5%添加することにより、破断ひずみが両親媒性リグニン無添加のコントロールの3.34%に対し、7.06%に向上し、引張強度が22.0%向上した。動的粘弾性試験およびDSCによる熱分析により両親媒性リグニンの添加が、PPと木材の界面に影響を及ぼすことが明らかとなり、ある程度相溶性が向上することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標に設定した、ポリオレフィンを原料とした木材-プラスチック複合材料(WPC)用の添加剤として、木材及びリグニンをポリオキシエチレンまたは高級脂肪族アルコールを用いて加溶媒分解処理をすることによる新規添加剤の開発を達成した。さらに開発した新規添加剤をポリプロピレンベースのWPCに添加し、その添加効果を評価した。その結果、加溶媒分解生成物は可塑剤として働き、WPCの柔軟性が向上することを明らかとした。レオメーターおよびDSCを用いた熱分析により、木材の加溶媒分解生成物の添加が、PPと木材の界面に影響を及ぼし、ある程度の相溶性を示すことを確認した。以上の成果を学術雑誌、国内学会、国際会議等で報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
ポリ乳酸等のバイオプラスチックと木粉との混合物に、前年度新規に開発した木材成分由来の相溶化剤を添加して新規の100%生物由来混練型WPCの製造方法を確立する。種々の力学試験、熱分析、耐朽性試験、耐候性試験により混練型WPCの諸物性を評価し、相溶化剤の効果、相溶性の発現機構を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
100%生物由来混練型WPCの原料であるバイオプラスチックペレット等の購入、および試薬・ガラス器具等の消耗品の購入を予定している。研究成果を学術雑誌、国内学会、国際会議等で報告する予定である。
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Research Products
(8 results)