2013 Fiscal Year Annual Research Report
木材由来の相溶化剤による混練型WPCの物性向上に関する研究
Project/Area Number |
24780173
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
小林 正彦 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, 主任研究員 (00397530)
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Keywords | 木材-プラスチック複合材料(WPC) / 加溶媒分解 / 相溶化剤 / 衝撃強度 / 耐候性 |
Research Abstract |
林地残材等の未利用木質バイオマスの有効利用法の一つとして、木材・プラスチック複合材料(混練型WPC)がある。混練型WPCの主用途はデッキ材等のエクステリア資材であるが、長期使用に伴い低い衝撃強度や耐候性低下等の欠点が顕在化してきた。これらの問題の解決には、親水性の木粉と疎水性のプラスチックの界面の相溶性を向上させることが有効である。本研究では、木材の加溶媒分解反応に着目し、親水鎖または疎水鎖を持つ木材由来の相溶化剤の調製とこれによる相溶性発現機構の解明、WPCの耐衝撃性、耐候性の向上を目的として下記の検討を行った。 まず、木材を加溶媒分解することで得られた加溶媒分解木材が混練型WPCの耐衝撃性に及ぼす影響について検討を行った。木材成分に親水鎖、疎水鎖を付加した2通りの加溶媒分解木材を調製した。これらを木材とポリプロピレンの混合物に5~20%の割合で添加して木材率50%のWPCを製造した。動的粘弾性試験の結果、添加剤-PP間の相溶性の向上が認められた。衝撃試験を行った結果、疎水鎖を付加した加溶媒分解生成物を添加して製造したWPCの耐衝撃性が向上することを明らかにした。 次に、加溶媒分解木材が混練型WPCの耐候性に及ぼす影響について検討を行った。上記で製造した木材率50%のWPCに対し、キセノンウェザーメーターを用いて促進耐候性試験を行い、変色およびチョーキング発生度合、また、表面性状の変化を評価した。その結果、疎水鎖を付加した加溶媒分解木材をWPCに添加することにより、耐候性向上効果(チョーキング抑制効果)が認められた。これは、加溶媒分解生成物の添加により、木材とPPとの界面の性状が改善したため、流動性、分散性が向上し、促進耐候性試験においてPP未包含の極表面の木粉が剥落した後、比較的均一なPPの連続相が表層に形成されたためであると考えられる。
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