2013 Fiscal Year Annual Research Report
植物プランクトンの消長に伴う浅海域の光環境変化と底生微細藻類の応答
Project/Area Number |
24780187
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
山口 一岩 香川大学, 農学部, 准教授 (50464368)
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Keywords | 浅海域 / 光透過性 / 植物プランクトン / 底生微細藻類 / 瀬戸内海 |
Research Abstract |
大別して2つの小課題に関する調査・研究を実施した。 (1)現場観測:昨年度に続き,浅海域に設けた定点で,海水の光透過性の経時変化をその支配に関わる二大成分(植物プランクトンと鉱物・デトライタス等の非生物粒子)の挙動と共に調べた。3年間のデータセット(2011-2013年)から,海水の光透過性の経時変化は,季節によらない突発的変化と,季節周期的変化に分けられることが判った。前者は主に非生物粒子現存量,後者は植物プランクトン生物量の変化に起因すると判断された。季節周期的変化に着目すると,海水の光透過性は低植物プランクトン生物量期の春季に最高水準値を示す一方,高植物プランクトン生物量期の秋季に最低水準値をとる傾向があった。従って,今後の瀬戸内海で起き得る「水柱植物プランクトンの減少に伴う海底光環境の好転」は,特に秋季に顕著となることが示唆された。 (2)現場底生微細藻類群集の光合成-光曲線(P-I曲線):昨年度考案した方法に則って浅海域定点の表層堆積物から底生微細藻類を捕集し,四季にわたり現場底生微細藻類群集のP-I曲線を求めた。底生微細藻類群集が示す最大光合成速度と光飽和点の目安(Ik)は,同時期における直上水柱の植物プランクトンに比べると常に低い値を示した。一方,強光阻害係数は高く,底生微細藻類群集は植物プランクトンに比して弱光向きの光合成特性を備えていたと判断された。Ikは74-176 umol/m2/sの範囲にあったが,この値は全天日射と水柱光減衰係数から試算した,定点の海底に日中(12-13時)到達する光量の周年平均値(181±88umol/m2/s,速報試算値)に概ね匹敵しており,現場光環境への順応の結果だと捉えられた。
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Research Products
(2 results)