2013 Fiscal Year Research-status Report
東南アジアの魚価決定機構における小規模漁業者と仲買業者の関係
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24780189
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
堀 美菜 高知大学, 教育研究部総合科学系, 講師 (60582476)
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Keywords | 小規模漁業 / 水産物流通 / 仲買業者 / 資源管理 / カンボジア / トンレサープ湖 / タイ / フィリピン |
Research Abstract |
カンボジア王国の内水面漁業は漁業法により大・中・小規模に分類されており、大規模漁業では、フランス統治時代に導入された商業的な漁業による区画漁業権制度が敷かれてきた。中規模漁業は漁具のライセンス制、自家消費的な小規模漁業ではコミュニティー漁業制が導入されてきた。2011年に零細漁業者の貧困削減を目的として、トンレサープ湖内の漁業区画での商業的操業が首相により中止され、一定期間の後に廃止された。これにより大規模漁業は一掃され、中規模漁業は実質禁止、小規模漁業のみが操業可能となった。対象漁場は、保護区への転換、及び零細漁業者への開放が行われ、コミュニティー漁業に管理義務が移行された。更に資源管理目的で漁具規制が重点的に行われたが、漁場の特性や漁具の機能を考慮しない規制となり、従来使用してきた漁具が使えなくなるといった混乱が生じた。過去の研究より、大規模漁業のみ漁獲量統計が集積されており資源評価が可能であったが、今回の制度改革によりモニタリングが行えない状況が引き起こされた。昨年度の成果より、仲買業者を漁業管理に巻き込むことで、定量的なデータの収集に寄与することが示唆された。本年度はこれを踏まえ、実際に漁業管理の単位となる漁業コミュニティーに着目し、コンポントム州とバッタンバン州の2つの漁業コミュニティーにおいて、使用漁具、漁場利用、漁獲物の扱い、仲買業者との関わり、漁業管理、コミュニティーの抱える問題点、漁業改革による変化などを聞き取り調査及び関連資料の収集により明らかにした(学会発表1)。 タイにおいてはラヨン県の仲買業者と市場関係者を対象とした聞き取り調査を実施した。フィリピンにおいては、本年度は現地調査を実施することが出来なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたフィリピンにおける予備調査が実施出来なかった。これは、調査予定地での台風被害が大きく、予定した時期に調査が行えなかったこと、また、研究計画時には想定出来なかったカンボジアの漁業改革により、使用可能漁具や漁場区分などに変更があったため、これら基礎情報の収集に時間がかかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
カンボジアの漁業情勢を考慮すると、流通機構の把握と同時に、漁具漁法、漁業区画など漁業の基礎情報を再度収集することが必要不可欠である。また、現時点では、当初の研究計画で予定していた漁家調査による定量的なデータ収集よりも、漁業コミュニティー単位での情報収集の方がより漁業管理に適した単位であると考えられたことから、一部現地調査の内容と方法を変更した。 タイの水産物流通においては、予備調査から、計画時よりも複雑な流通構造が推測されたため、仲買業者の聞き取りを継続しながら、水産物流通の全体的な構造把握も進めることとする。 フィリピンについては、予備調査が延期となったことから、規模を縮小して平成26年度に実施することとする。
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Research Products
(1 results)