2014 Fiscal Year Annual Research Report
キンギョのまだら模様体色パターン形成における体色調節ホルモンの役割
Project/Area Number |
24780192
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
水澤 寛太 北里大学, 海洋生命科学部, 講師 (70458743)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | キンギョ / 皮膚 / 鱗 / 体色パターン / 体色変化 / 色素胞 / ホルモン / 受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
黒色素胞刺激ホルモン(MSH)とメラニン凝集ホルモン(MCH)は硬骨魚類の皮膚色素胞における色素運動を調節し、生理学的体色変化を引き起こすホルモンである。MSHは色素胞の分化も誘導し、形態学的体色変化も引き起こす。本研究はシュブンキンに特徴的な体色のまだら模様形成におけるこれらのホルモンの役割の解明を目的とする。最終年度である平成26年度では、背景色がシュブンキンの鱗色素胞に及ぼす影響を検証した。また、シュブンキンの多様な鱗において発現するMSH受容体(MC1R~MC5R)の発現分布を、ワキンから得られた遺伝子情報をもとにして検証した。 シュブンキンを14日間白水槽または黒水槽で飼育した後、それぞれの水槽のキンギョを白水槽と黒水槽に分配してさらに14日間飼育した。この過程における体色と色素胞の変化を調べた。その結果、シュブンキンは背景色の明暗に応じて体色の明暗を変化させること、黒色素胞と黄色素胞どちらにおいても、黒背景下では色素顆粒が拡散し、白背景下では色素顆粒が凝集することが明らかとなった。 ワキンのMC1R~MC5Rを増幅するプライマーを用い、逆転写PCRを行った。脳RNAからはMC1RからMC5RまですべてのMCRが増幅された。鱗を黒色素胞と黄色素胞の有無によって4種類に分類し、それぞれのRNAを鋳型として逆転写PCRを行った結果、MC1RとMC5Rは黒色素胞と黄色素胞のどちらにも発現するが、MC3Rは色素胞以外の細胞に発現することが示唆された。MC1RとMC5Rの演繹アミノ酸配列をシュブンキンとワキン間で比較した結果、MC1Rには2残基(K104T、S130F、左がワキンで右がシュブンキン)、MC5Rには3残基(A6S、T26A、F166L)に違いがあったものの、アミノ酸の一致率はMC1R、MC5Rとも99%であり、魚種間で機能に違いはないと考えられる。
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Research Products
(4 results)