2012 Fiscal Year Research-status Report
雌性先熟魚類に対する現行の漁業は適切?:繁殖生態に基づいた適切な漁業管理策の検討
Project/Area Number |
24780195
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
佐藤 琢 独立行政法人水産総合研究センター, 西海区水産研究所 亜熱帯研究センター, 研究員 (20455504)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 雌性先熟魚類 / 漁業管理 / 性転換 / シロクラベラ |
Research Abstract |
熱帯、亜熱帯域の沿岸資源には雌性先熟魚類が多くみられる。大型個体は雄として資源の再生産に大きく貢献するが、現行の漁獲規制(体サイズ規制)のもとではこのような大きな雄ほど漁獲対象となりやすい。雌性先熟魚類では、漁獲等によって雄がいなくなった場合、集団中の大きな雌が雄へ性転換するが、機能的な雄となるにはある程度の期間を要すると予想される。そのため、繁殖期直前および繁殖期中の雄の漁獲は資源の再生産に大きな影響を与えることが懸念される。そこで本研究では、雌性先熟魚類のひとつであるシロクラベラをモデル魚種として、繁殖期直前および繁殖期中における雄の漁獲が雌性先熟魚類資源の再生産に与える影響を水槽実験によって調べることを目的とした。 実験群は、1群あたり4個体とし、使用する個体サイズは漁獲物組成を参考にした(体長約60 cm以上の雄1尾、体長55 cm程度の大型雌1尾(性転換可能な体サイズ)、体長50 cm以下の小型雌2尾)。実験群からは繁殖期前の1月上旬、もしくは繁殖期中の3月中旬に雄を取り除き、雄の漁獲を再現した。本実験は現在実施中であり、雄を除去した後の雌の行動や産卵の有無等について観察を続けている。繁殖期前の1月上旬に雄を除去した実験群では、雄の除去から約100日後の現時点では受精卵は得られておらず、機能的な雄はまだ出現していない。同様に3月に雄を除去した群からも未だに受精卵は得られていない。今後も観察を続けることによって、1) 雌は繁殖期のいつでも性転換が可能か?や、2) 性転換個体が雄として機能するのに要する期間、 3) 性転換直後の雄としての繁殖能力(受精能力等)について調べる予定である。 本研究課題の成果は、シロクラベラに限らず、他の雌性先熟魚類資源においても、現行の資源利用方法に対する評価や資源管理策を構築の際に有用な情報となり、それら資源の漁業管理に貢献する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、当課題は実施中であるが、その進捗に問題は無く、計画通りにデータを収集できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
データの信頼性をあげるため、来年度は今年度と同様の実験を行い、サンプル数の充実を図る予定である。現在のところ、実験計画の変更は特に無い。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度同様、1群あたり4個体の実験群を複数設定する。実験群からは繁殖期前の1月上旬、もしくは繁殖期中の3月中旬に雄を取り除くことによって雄の漁獲を再現し、雄を除去した後の雌の行動や産卵の有無等について観察を行う。これによって、1) 雌は繁殖期のいつでも性転換が可能か?や、2) 性転換個体が雄として機能するのに要する期間、 3) 性転換直後の雄としての繁殖能力(受精能力等)について調べる予定である。
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