2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24780212
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 淳史 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00402826)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 農民政策 / 戦後開拓 / 戦後移民 / 農業政策 / 移民政策 |
Research Abstract |
本年度においては、国立国会図書館憲政資料室所蔵の『石黒忠篤関係文書』ならびに東京大学・一橋大学・大阪市立大学・岡山大学等において、戦時期から1950年代にかけての農業雑誌・青年雑誌を中心とする資料調査を行った。その結果、『石黒忠篤関係文書』を用いた分析として、伊藤「「石黒農政」における戦時と戦後」が発表された(「研究発表」欄・図書の項目)。本論文は、これまでまったく検討されてこなかった、石黒忠篤・那須皓・加藤完治ら「内原グループ」の戦後に焦点を当てたはじめての研究である。なお、農業雑誌・青年雑誌分析については、翌年度以降の研究において随時引証に用いることを予定している。 次に、本研究は「農民政策」という観点のもと近現代日本農業史研究に関する新たな把握を提示することを目的とするものであるが(交付申請書「研究目的」)、かかる目的を達成するため、既存学説の批判的検討を行った。その結果は、伊藤「戦時・戦後日本農民政策史研究の論点と課題」として刊行されている。本論文によって、農林省による人に対するはたらきかけ(農民政策)に着目する意義が、近現代日本農業史研究にはじめて位置付けられることとなった。 その他、近年刊行された近現代日本農業史研究に関する検討として書評2本を発表し(ほかブックガイド1本)、また日本におけるブラジル移民政策に関する通史について、日本語ならびにポルトガル語での刊行が予定されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度において、「農民政策」という視角の意義の提示と、石黒忠篤に即した一次史料分析を研究成果として発表することができた(「研究発表」欄参照)。本研究課題の意義について、初年度に学会誌論文として提示しえたことは、研究目的の達成に貢献するものと考えている。翌年度以降も、交付申請書の「研究計画・方法」に示した資料調査を進め、研究目的の達成に向けた研究成果の発表を続けたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、戦後移民政策に関する資料収集を進めたい。具体的には、全国農業協同組合中央会協同組合図書資料センターに所蔵されている那須文庫ならびに、JICA海外移住資料館での資料調査を考えている。初年度の『石黒忠篤関係文書』、農業雑誌・青年雑誌記事の分析とあわせ、「農民政策」という視角による新たな近現代日本農業史研究を研究成果として積極的に発信していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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