2015 Fiscal Year Annual Research Report
個別農家の合理的行動選択を考慮した持続的地域農業システムの確立に関する研究
Project/Area Number |
24780214
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
竹内 重吉 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (60595685)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 持続的地域農業システム / 地域農業計画 / 中山間地域 / 耕作放棄地 / 自治組織 / 自治会役員 / 協力ゲーム理論 / 報酬 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は研究計画に示した分析Ⅰ,分析Ⅱに加えて,分析Ⅲにおける地域全体の最適システムと個別農家の合理的行動選択との整合性を検討し,持続的地域農業システムの確立に向けた方策を考察した。 研究事例としたのは持続的地域農業システムの運営主体の一つとしてあげられる中山間地域の自治会活動である。日本の農村地域における資源管理は,地域の自治組織によって維持管理され農業生産活動の基盤となってきた。しかし近年,地域内の人口減少や高齢化によって集落機能が弱体化し,耕作放棄地の増加など地域の維持管理が困難な局面にある。地域の維持管理には自治会活動の維持,向上が求められ,さらには自治会役員の役割が重要となってくる。本研究では千葉県の中山間地域を事例とし,自治会による地域全体の資源管理と個別役員における合理的行動選択の視点から,自治会活動の持続的な展開に向けた方策を検討した。 対象事例では自治会長を中心に地域の農地管理と担い手への支援を行っており,地域の維持管理には自治会活動の推進が必要不可欠で,その中核を役員が担っていることを明らかにした。役員には役員業務に対して報酬を支給する事例が多く,これが役員業務に対するモチベーションの一つとなる。対象事例における役員の取組みは役員報酬を越える貢献があることを協力ゲーム理論を用いて経済的に評価した。これらの分析から,自治会活動の維持向上に向けては役員業務の維持向上が必要不可欠であり,その対策として役員の地域への貢献に応じて役員報酬を検討することが有効であることを示した。 また,以上の事例以外にも北海道を事例とした国産濃厚飼料イアコーン生産の普及が地域農業に及ぼす影響に関する研究,岡山県の大規模畜産地帯における資源循環型システムの展開に関する研究などを実施し,これらの研究から本研究で確立したアプローチを様々な事例に応用できることを確認した。
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Research Products
(4 results)