2012 Fiscal Year Research-status Report
ライフサイクルアセスメントと経営計画モデルの統合による農業経営の持続可能性評価
Project/Area Number |
24780219
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
増田 清敬 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教 (20512768)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | LCA / 環境保全型水稲栽培 / 慣行水稲栽培 / 地球温暖化 / 経営計画モデル |
Research Abstract |
平成24年度では,経営計画モデル作成の前段階として,LCA(ライフサイクルアセスメント)手法を用いて環境負荷関数を作成した.その際に,環境保全型水稲栽培と慣行水稲栽培間の比較評価を行った.ここでの環境保全型水稲栽培とは,化学合成農薬の延べ使用成分数および化学肥料の窒素成分量を慣行の5割以下とする取組を行う水稲栽培を指す. 環境保全型水稲栽培では,ある集落営農における投入・産出データを金銭および物量ベースで把握し,データセットを作成した.慣行水稲栽培では,米生産費調査からデータセットを作成した. 地球温暖化に関する分析結果は以下の3点に要約される.第1に,化学合成農薬の延べ使用成分数を慣行の5割以下とする取組において,温室効果ガス排出削減効果は極めて小さかった.第2に,化学肥料の窒素成分量を慣行の5割以下とする取組は,肥料からの温室効果ガス排出削減に有効であった.第3に,化学肥料の窒素成分量を慣行の5割以下とする取組に伴う有機肥料投入は,水田からのメタン排出量の大幅な増加を引き起こした. 水田からのメタン排出は,水稲栽培における最大の温室効果ガス排出源であり,慣行水稲栽培と比べて環境保全型水稲栽培の温室効果ガス排出量合計を増大させた主因であることが明らかになった.したがって,中干し期間延長などの水管理方法によるメタン排出抑制対策実施を必須化することが,環境保全型水稲栽培による地球温暖化防止効果を確保していくために重要であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の計画は,第1に,LCA分析および経営計画モデル作成のための基礎的データを収集すること,第2に,そのデータを用いてLCA分析を行うことであった.本年度は,集落営農の調査データを用いたLCA分析の成果を国内外の学会で発表し,国内和文誌に論文投稿したことから,概ね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度では,当初の計画通り,環境負荷を考慮した水田農家の経営計画モデルを作成し,線形計画法によりシミュレーション分析を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし.
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Research Products
(3 results)