2013 Fiscal Year Annual Research Report
ライフサイクルアセスメントと経営計画モデルの統合による農業経営の持続可能性評価
Project/Area Number |
24780219
|
Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
増田 清敬 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教 (20512768)
|
Keywords | 水田農業経営 / LCA / 経営計画モデル / 最適化 / 環境効率 |
Research Abstract |
最終年度は,前年度に分析した環境負荷推計に関する資料・データに基づいて,環境負荷を考慮した経営計画モデルを作成した.ここでは,水稲―小麦―大豆の2年3作体系を導入する大規模水稲経営を想定した経営計画経営モデルを作成した.農業経営支援として,「戸別所得補償制度」および「環境保全型農業直接支援対策」を考慮した.水稲は環境保全型栽培または慣行栽培,小麦および大豆は慣行栽培を行うものと仮定した.LCA(ライフサイクルアセスメント)を用いて,各作目のエネルギー消費量,地球温暖化ポテンシャル,酸性化ポテンシャル,富栄養化ポテンシャルを推計し,これらの環境影響を経営計画モデルに含めた.最適化シナリオは,農業所得最大化,それぞれの環境影響最小化である.主たる結果として,農業所得最大化,エネルギー消費量最小化,地球温暖化ポテンシャル最小化では,慣行水稲栽培―慣行小麦栽培―慣行大豆栽培の2年3作体系が選択される一方で,酸性化ポテンシャル最小化,富栄養化ポテンシャル最小化では,環境保全型水稲栽培―慣行小麦栽培―慣行大豆栽培の2年3作体系が選択されることが示された.以上は,水稲―小麦―大豆の2年3作体系をベースとしつつも,最適化のターゲットとする内容に応じて,環境保全型水稲栽培または慣行水稲栽培のいずれか片方が選択されることを示した.なお,政権交代の影響で「戸別所得補償制度」の支援内容・水準が見直され,新たに「経営所得安定対策」がスタートする.したがって,「経営所得安定対策」下を想定したシミュレーション分析が今後必要である.
|