2012 Fiscal Year Research-status Report
消費者の多様な食品購買行動における広告情報の効果に関する計量的研究
Project/Area Number |
24780221
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
岩本 博幸 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (90377127)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 消費者行動 / 選択実験 / 表明選好法 / 食品広告表示 |
Research Abstract |
本研究の目的は,広告表示の提供方法が多様な消費者の購買行動に与える効果について行動経済学の知見を明示的に取り入れた分析枠組みの構築を顕示選好データおよび表明選好データの両面から実証分析を通じて試みることにより,リスクコミュニケーションをはじめとする消費者への食品情報提供のあり方に示唆を与えることにある.平成24年度は,「1.分析モデルの検討」「2.予備的分析の実施」を実施課題としていた. 1.分析モデルの検討:農業経済学分野において食品の広告表示が多様な選択方略をもつ消費者の購買行動に与える影響について明示的に分析対象とした事例はきわめて少ないことから、これらの研究蓄積において先行している分野の研究事例を参考としつつ,食品の広告表示を分析対象とする場合に要する改良点について以下の点に留意しつつ検討した.①辞書式選好等の非補償型選択行動に関するこれまでの研究から得られた知見を考慮すること.②消費者の多様な社会経済属性を考慮すること.③広告表示による消費者行動への影響を定量的に計測できることである.検討の結果,これまで代表者が取り組んできた表明選好アプローチの援用が可能であるとともに,共分散構造分析なども有望であることが確認できた.また,顕示選好アプローチにおいても時系列データに適用可能な分析モデルが有望であることが確認できた. 2.予備的分析の実施:平成24年度は予備的な分析として,表明選好アプローチにおける広告表示の消費者購買行動分析を試みた.分析対象を豆腐とし,「国産丸大豆使用」表示と「国産丸大豆100%」表示を含んだ選択実験を実施し,「丸大豆使用」表示との比較を試みたところ,制度上はどちらも同じ意味を示す「国産丸大豆使用」表示と「国産丸大豆100%」表示を消費者は同等と評価せず,「国産丸大豆使用」表示よりも「国産丸大豆100%」表示を選好することが示された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,「1.分析モデルの検討」「2.予備的分析の実施」を実施課題としていたが,「1.分析モデルの検討」については,当該分野および隣接分野の既存研究の検討から,これまで代表者が取り組んできた表明選好アプローチの援用が可能であるとともに,共分散構造分析なども有望であることが確認できた.また,顕示選好アプローチにおいても時系列データに適用可能な分析モデルが有望であることが確認できた. 「2.予備的分析の実施」については,表明選好アプローチにおける広告表示の消費者購買行動分析を試み,広告表示によって消費者の選好が変化することを確認することができた.以上の進捗状況から,概ね当初の計画に沿った実施状況であると評価している.
|
Strategy for Future Research Activity |
1.分析課題:平成25 年度の分析課題は,①時系列パネルデータを用いて広告表示が消費者の食品購買行動に与える影響を分析すること,②時系列パネルデータの広告表示を用いた選択実験を行い,顕示データによる分析との比較検討,回答者属性として知識・態度データを取り入れた分析を実施し,広告表示が消費者選択行動に与える影響を明らかにすることにある. 2.調査概要と手順:前年度に検討した分析の枠組み,広告表示の分類,プレテスト等をもとに,消費者の購買行動に関する時系列パネルデータを用いて,広告表示が消費者の選択行動に与える影響について分析する.同時に,時系列パネルデータで用いられた広告表示を再現した繰り返し選択実験を実施してデータを収集する.時系列パネルデータと選択実験データの両面から分析を試みることで,時系列パネルデータには完備されていない消 費者の知識や態度を取り入れた分析が可能となる.また,選択実験データによる分析結果が実際の顕示データによる分析結果とどの程度整合的であるのかを検討することを企図している.分析に用いる時系列パネルデータは,パルシステム生活協同組合の購買データを使用する.また,選択実験データは,インターネットリサーチを利用したアンケート調査により収集する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|