2013 Fiscal Year Research-status Report
農業参入企業を包含する地域農業計画の確立に資する地域自主協約策定方法に関する研究
Project/Area Number |
24780222
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
山下 良平 石川県立大学, 生物資源環境学部, 講師 (40515871)
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Keywords | 企業参入 / 地域農業計画 / 地域自主協約 / 農業経営 |
Research Abstract |
2年目の年度は,最終目標である農業参入企業を包含した地域農業計画の確立に向けた現地調査を集中的に行った。具体的には,水田農業や林業経営に対して,企業がどのような立ち位置にあるかについて,さらに都市住民が農山村の環境保全に対してどのような経済価値を見出しているかについて,アンケート調査を行い,その結果の定量分析を行った。主な結果は以下の通りである。 まず,企業の生物多様性保全活動の実態を圏域レベルで調査し,得られた結果を元にカテゴライズした企業群について,活動開始の障壁や継続条件の認識,及び活動不参加の要因を検討することを課題とした研究である。調査対象は,北陸4県を中心に事業所を置く企業とし,企業の実態を調べるためのアンケート調査を行った。その結果,企業が保全活動に取り組むには,まず社内の理解を進め,先行企業の情報等を参照しつつ,地域とのマッチングやノウハウ指導面で行政の支援が不可欠であることが示唆された。そして,その活動の持続性を担保する評価機構については,現状では企業外部からの積極的な関与が必要であることが分かった。 次いで,里山活性化計画の精度を高めることを目的として,地域資源(漬け物)の特産品化を契機とする地域活性化計画の診断を行う調査研究である。診断手法としてCVMを用いて,実際の計画案に対する消費者の反応を経済的に評価する。結果,地産地消の理念から農産物直売所を設置しても,本事例では商品に付加価値が無ければ大きなインパクトとなりえなかった。また,計画主体が想定する主な消費者である高齢者層は,実際に漬け物への評価が特に高く,計画の方向性は概ね妥当であった。さらに,都市住民が里山行う環境活動や農作業などの経験は環境価値の評価向上に寄与し,購買行動に一定の効果が見られたが,簡易な情報提供では,殆ど効果が見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
地域との良好な協力関係のもと,計画を上回る進捗状況で研究が行えている。当初予定していたペースより多くの論文投稿,学会発表を行うことが出来ており,研究範囲も深化・拡張している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,過去2年間での既往研究の整理,現地調査,定量分析の結果を踏まえて,研究の最終目的である地域での自主協約策定に関する実践的な研究を行う。既に現地での作業を開始しており,支障なく研究を進めている。最終的な分析結果は適宜学術論文等での公表を予定している。
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