2012 Fiscal Year Research-status Report
女性農業者のワークライフバランスとキャリア形成に関する実証研究ー日欧韓国際比較
Project/Area Number |
24780224
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
堤 美智 早稲田大学, 平山郁夫記念ボランティアセンター, 研究助手 (60609569)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / ポルトガル / スペイン |
Research Abstract |
1)平成24年度は7月・8月にかけてThe XIII World Congress of Rural Sociology in Lisbon Portugalにて研究課題である女性農業者のキャリア形成について発表するため学会に参加した。タイトルは "FINANCIAL INDEPENDENCE SUPPORT AND CAREER FORMULATION OF JAPANESE FEMALE FARMERS"女性農業者たちがどのように経済的な自立を目指し、パワーアップしていくか、農業実践していくか、そのキャリア形成の実態を報告した。農業者のための行政支援の重要性の認識を指摘したことに意義があった。 2)そして,ポルトガルのリスボン周辺のユーカリ種苗の視察、また女性労働のあり方を視察した。スペインのマドリッドとバルセロナにおける市場調査と労働の実態を視察してきた。女性労働力の重要性の違い、比率について明らかにすることができた。市場では女性が多く働いており、女性労働力が重要であるとことを視察で確認した。 3)また、11月には山梨県の女性農業者に科学研究費テーマの女性農業者が生涯にわたり、健康で仕事と生活・余暇をバランスよく実現できるための支援体制を検討し、円滑なキャリア形成諸条件を解明するために女性農業者から聞き取り調査を行った。対象者たちの子育て期から現在までの農業におけるキャリア形成の在り方と地域社会における女性活動の歩みの変化を明らかにするために意義があった。 4)「オランダ女性農業者の働き方からみた生活時間分析」の論文でオランダ調査の結果の分析を行った。女性農業者の生活時間調査から労働時間、家事労働時間、子育て・交流時間を割り出し、農繁期農閑期の時間配分の相違に着目し、その特徴を見いだした。これらの分析からWLBが可能な諸条件を検討することに意義があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の達成度についてはおおむね順調に進展している。当初の計画より幅を広げて研究調査をした領域もある。 1)国際学会にての報告は計画通り順調に進み、WEBに報告書が掲載され、農業者のための行政支援の重要性の認識を指摘できたことは注目され、評価された。 2)ヨーロッパの調査を計画し、女性農業者の労働の実態を視察することができた。女性労働力の重要性の違い、比率について明らかにすることができた。また農産物も多様な品種を確認した。市場では女性が多く働いており、女性労働力が重要であるとことを視察で確認したことは評価できる。 3)11月の山梨県女性農業者の聞き取り調査は当初の計画をさらに進めた形で行えたことは評価できる。 4)研究目的を明確にし、日本との比較研究の基礎となる農業先進国であるオランダについての調査研究をまとめることが出来たことは、評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)昨年に引き続き、基本となる聞き取り調査を継続する。特に、概念の整理、概念構成の再検討、研究枠組の再確認をしながら、平成25年度は主に、昨年度に行った調査の整理、既存データの整理、関連する内外の先行研究のレヴュー、再整理する。 2)日本における女性農業者のキャリア形成をライフコース視点から解明する。農業を継続できた要因と背景、また、職業としての農業に関する意識、他の職業からの転職要因等を明らかにする。円滑なキャリア形成については女性農業者の労働にかかわる主体的意思決定、行動分析を行う。 女性が生涯にわたり、労働を継続するとともにライフステージに応じて次世代育成、介護、社会活動をするための具体的な支援策を見出し、それらが可能になる諸条件は何かを解明する。 3)テーマに関する海外研究ヨーロッパ調査の企画、実施 ドイツの女性農業者を対象に仕事と生活のバランスをどのようにとっているのか、また農業者としてのキャリア形成をどのように考えているのか、聞き取り調査を予定している。当初は韓国に聞き取り調査をする予定をしていたが、情勢が不安定なため様子をみながら判断する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)調査研究旅費・打ち合わせ費についてドイツの女性農業者を対象に聞き取り調査をするために成田からフランクフルトまでの旅費・滞在費(2週間)現地との打ち合わせ費、交通費を合わせて95万円を計上している。その他として研究補助・外国語論文校閲20万円、物品費15万円、人件費20万円、印刷費2万円と計上する。
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