2013 Fiscal Year Research-status Report
土中の水・窒素動態を考慮した作物生長モデルによる灌漑水・窒素投入量の逆推定
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24780228
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
吉田 貢士 茨城大学, 農学部, 准教授 (20420226)
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Keywords | 灌漑排水 / 作物生長モデル / 植生指標 / ラオス / インドネシア |
Research Abstract |
本年度は、逆推定モデルの検証データを得るためにラオスにおける現地調査を行った。ラオスの灌漑水田において、坪刈りによる収穫調査を行い、同時に放射スペクトルの計測を行った。観測された放射スペクトルから得られる植生指標NDVIと収穫量の関係を表す回帰直線を求め、その関係を衛星画像から得られるNDVI値を元に広域展開し、地域レベルでの収穫量推定を行った。それら収穫量データを下に作物成長モデルを適用し、各圃場で使用されたであろう灌漑水量の逆推定を行った。 具体的には、雨期の収量データおよび気象データを作物生長モデルと根圏水収支モデルにインプットすることにより、第1段階として浸透量の推定を行った。現地に気象観測装置を設置し、雨期の気象データについては実測値を使用した。衛星から推定された収量に一致するように浸透量の値をフィッティングし決定した。雨期において推定された浸透量の値を、乾期作においても適用することで、その圃場に供給された灌漑水量を推定した。灌漑水量推定に関しても浸透量同様、乾期収量に合うように灌漑水量の値をフィッティングし決定した。各灌漑ブロック毎に栽培期間中の総取水量を計算し、流量観測から得られた実測供給水量と比較した結果、上流のブロックにおいては比較的精度よく推定ができたが、下流ブロックにおいては過大評価が見られた。これには水田の地形的立地条件が起因しており、地下水経由での水分供給をモデル化する必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画においては、2年目に衛星画像を活用した広域での収穫量推定と、作物生長モデルの適用による灌漑水量の逆推定を掲げており、本年度の成果により、その目的はおおむね達成されたと評価される。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はインドネシアとラオスにおいて流域レベルでのモデル拡張を行う。現在、ラオスにおいて地下水位の観測を行っており、地下水の水位変動を組み込んだ水循環・作物生産モデルを構築する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末の3月にラオスの乾季作水田調査を行う予定であったが、作付けがずれた関係で刈り取り調査が行えなかったため、そのための旅費を次年度に繰り越すこととなった。 4月にラオスにおいて刈り取り調査を行うため、そのための旅費として使用する。
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Research Products
(5 results)