2014 Fiscal Year Annual Research Report
土中の水・窒素動態を考慮した作物生長モデルによる灌漑水・窒素投入量の逆推定
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24780228
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
吉田 貢士 茨城大学, 農学部, 准教授 (20420226)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 灌漑排水 / 作物生長モデル / 地下水モデル / ラオス |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は米生産量および灌漑取水量推定精度の向上を目的として、既存の根圏水収支を考慮した作物生長モデルに、地下水の水文過程を表現可能なモデルを加えた新たな地下水解析-作物生長結合モデルを構築した。また、構築したモデルを使用して乾季作における灌漑取水量の逆推定を試みた。 2014年雨季作におけるモデル適用においては、地下水位変動・作物生長結合モデルのパラメータを各小流域の実測収量と計算収量が一致するようにフィッティングし同定を行った。モデル計算結果を実測収量で検証したところ相関係数が0.90となり、高い精度で実測収量を再現できた。根圏、地下水位水収支は全集水域で誤差が5%未満となり高い精度で成り立った。地下水位検証ではモデル作付け期間内の地下水位変動は上手く再現できた。 2014年の乾季作にモデルを適用し、灌漑水量の逆推定を行った。根圏水収支は全集水域で1%未満となり高い精度で成り立った。しかし、浸透水量が雨季作より極端に少なくなった。そこで、水ストレス構造を水田に適したものに修正した結果、下方浸透量が増加し、地下水位の計算値は実測値とよく一致した。FAOの根圏水収支モデルにおいては、蒸発散に必要な水分が灌漑により供給されれば水ストレスが作用しない構造となっており、その場合、土壌水分が圃場容水量を超えることが無く下方浸透量が生じない構造となっている。しかし、稲作農家が畑作のように土壌水分を圃場容水量でコントロールすることは無く、実際には水ストレスに敏感な稲においては大幅な減収が生じるものと考えられる。本研究においては、水ストレスが作用し始める水分量を飽和水分量と圃場容水量の間に設定し、モデルの改良を行った。
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