2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24780234
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
宗村 広昭 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (90403443)
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Keywords | 汽水湖流域 / 河川水環境 / 水・物質循環 / 小河川流域 |
Research Abstract |
長年対策を練って来たにもかかわらず汽水湖水環境の改善が見られない.それは汽水湖に流入する主要河川を主な対象とし,盲目的に汽水湖周辺に存在する小河川群を考慮してこなかった事が原因の一つと考えられる.主要河川だけではなく,汽水湖周辺に存在し人口密度の比較的高い小河川流域での営農等人間活動や集落排水等が小河川流域の水質や下流汽水湖の水環境に与えている現況を把握し,総合的に水環境保全・改善策を考察していくことが重要である.本研究では現地河川での流量観測および河川水サンプルの採水,そして研究室での窒素・リン・浮遊物質量(SS)等の分析を主な活動とし,汽水湖周辺小河川から流入する水質に関して実態を把握することを目的に研究を進めている. 平成25年度は,北海道網走湖に流入する小河川7河川(網走川,旧網走川,黒瀬川,トマップ川,女満別川,リヤウシ川,サラカオーマキキン川)を対象に4月から12月まで月1度の頻度で調査を行い,流量観測や河川水質の分析を行った.測定項目は,現地観測において,pH,水温,電気伝導度,溶存酸素等を測定し,研究室において,全窒素,全りん,SS,溶存鉄,溶存シリカ等を分析した(総サンプル数58).なお,1月以降は積雪により観測遂行が困難であったため行っていない.また流量観測についても増水等の影響により欠測月・欠測河川が存在する. 分析したデータを見ると,SSや溶存鉄は雪解け時期である4月や5月にピークが観測され,6月以降は変動が少ない事が把握された.リンは4月,5月,と9月に濃度が高くなる傾向が把握された.窒素はリンと同様に春先に高い傾向が見られ,観測期間を通して比較的高い濃度で推移した.またシリカは4月から8月にかけて濃度が上昇し,12月にかけて減少する傾向が見られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は特に網走湖周辺河川に関して重点的に観測を行い,対象水質項目に対して月ごとの変動傾向や水質濃度レベルの把握を行った.これまで主要河川である網走川の水質は国土交通省北海道開発局によって把握されていたが,周辺小河川についてはデータが少ない状況であった.本研究を通して4月から12月ではあるが網走川を含む7河川について把握できたことは,汽水湖である網走湖に対する小河川の影響評価をするうえで非常に重要なデータを入手したと言え,研究ゴールに向けて「おおむね順調に進展している」と判断できると考えた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は研究最終年度であるため,網走湖流域および宍道湖流域において過去2年間で行ったデータをまとめ汽水湖周辺小河川が汽水湖水環境へ与える影響に関して評価していく.なお網走湖周辺河川調査についてはデータの信頼性向上のため4月から8月をめどに継続する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
科学研究費助成事業若手研究(B)が基金化された利点を生かし,未使用額756円を次年度予算と合算して使用しようと考えた. 平成26年度は研究の最終年であることから,ブラジルで開催される国際学会でこれまでの成果発表を行う.また網走湖流域での調査を継続するため以下の様な使用計画で予算を執行させて頂く. 【物品費】薬品・水質分析用ガラス機器【旅費】網走調査,東京(情報収集),および国際学会【人件費】謝金(水質分析補助)【その他】車両借り上げおよび英文校閲
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Research Products
(2 results)