2013 Fiscal Year Research-status Report
データ同化に基づいた環境に配慮した農業施設の設計・施工・維持管理システムの構築
Project/Area Number |
24780235
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
珠玖 隆行 岡山大学, その他の研究科, 助教 (70625053)
|
Keywords | 環境 / 仮想評価法 / 設計 |
Research Abstract |
構造物の建設工事を行う際は,計画・設計段階で複数の案が出され,その中から安全性と経済性を満足しうる計画・設計が最適案として選定される。その選定の際に用いられる意思決定基準はライフサイクルコストと呼ばれ,建設実務で一般的に用いられている。しかしながらこの基準は,設計案の経済性にのみ着目しており,建設工事が環境に及ぼす影響については考慮されない。そのため,最も経済性に優れているが,周辺環境への影響が最も大きな設計案が選定される可能性がある。環境は一度破壊されると修復することが難しく,また修復に多くの費用が必要となる場合が多い。このことは,最も経済的な設計を採用したにも関わらず,環境コストを考えると最も非経済的な設計案を選定してしまう可能性があることを意味している。そこで平成25年度は,経済性と安全性のみならず構造物の建設が周辺環境に及ぼす影響も考慮しうる意思決定基準,ライフサイクル・環境コストを提案を目的とした。はじめに,環境の貨幣価値を推定する方法として仮想評価法に着目し,仮想評価法に基づいたアンケートを作成した。作成したアンケートを岡山県在住の一般市民に配布し,300の有効回答を得た。得られたデータを統計解析し,環境の価値を貨幣価値として表わす一つの方法を示した。さらに,環境価値の推定結果に基づき,新しい意思決定基準,ライフサイクル・環境コストを提案した。その後,提案した意思決定基準の有効性について検証するため,河川改修工事を対象とした数値実験を実施した。複数の仮想の河川改修案を考え,その中で最も河川生態系への影響が小さい改修案を選定しうるかを検討した。その結果,提案した位置決定基準により,最も環境に調和的な設計案を選定できることを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた研究,新しい意思決定基準の提案は実施することができ,目標を達成できたと考える。しかしながら,提案基準の実際問題への適用については取り組んでおらず,今後のさらなる適用例の積み上げが必要である。 以上のことから,「おおむね順調に進展している」と評価する。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度はおおむね目標を達成することができたが,提案した方法について数値実験上でその有効性を実証したにすぎない。今後,提案手法が実務に適用可能な方法まで進展するためには,さらなる適用例の積み上げが必要である。よって今後は,数値実験のみならず,実際の問題にも適用していく必要がある。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じたが,その金額は1,166円であり,ほぼ計画通りに予算を使用できたと考える。 次年度使用額は1,166円と少なく,当初の計画通り使用する。
|
Research Products
(9 results)