2013 Fiscal Year Annual Research Report
水生植物の生育地としてのため池のホットスポットの抽出
Project/Area Number |
24780236
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
渡邉 園子 広島大学, 国際協力研究科, 特任講師 (80403616)
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Keywords | 分布構造 / 生物多様性 / 空間統計学 / 水生植物 / 農業生態系 |
Research Abstract |
本研究は、東広島市の西条盆地に多くあるため池の分布と生態系の特性を明らかにすることを目的とし、水生植物の生息地としてのため池の地理的分布構造の評価と、水生植物と各種環境要因の関係、生息適地について分析を行った。ため池のような地域に点在する生育地においては、その地理的分布パターンや生育地間のネットワークの重要性が認識されており、地理的分布構造や生息に適した環境に関する情報は、保全計画において重要な資料となるにも関わらず、地域スケールでのため池の分布に関する情報や、それをもとにした具体的な保全方法は明らかになっていない。本研究は、RiplayのK関数を用いて、水生植物の生息地としてのため池の分布構造を数値化し、Maxentを使用して、水生植物とその生息地の環境要因の関係を明らかにした。その結果、西条盆地のため池は、500m程度の集中斑を形成して分布していることが明らかになった。さらに本研究は、水生植物の種の出現傾向で分けた4つのため池タイプのそれぞれの分布相関を分析し、外来種が出現するため池は、特定の地域に大きく偏って集中分布していること、多様性が高いため池とは排他的分布をしていることなどが明らかになった。水生植物の生息地の解析では、環境変数として、標高データから算出される環境要因や周辺の土地利用状況、ため池の形状指数などを変数として使用し、水生植物の分布を規定する要因の解明と、生育適地モデルの作成を行った結果、周辺のため池数や起伏量が種の存在に影響していることが明らかになった。さらに、種毎に作成した生育適地モデルの変数の比較を行い、それぞれの種の生態的特性と合わせて空間分布が水生植物の存続に与える影響を考察した。その結果、周囲に同質のため池が多く存在することが、水生植物の存在に影響を与えており、ため池の水生植物が、メタ個体群として存続している可能性があることが明らかになった。
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