2012 Fiscal Year Annual Research Report
季節ごとのオゾン暴露がおよぼす植物影響の特異性評価
Project/Area Number |
24780239
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
星加 康智 北海道大学, 大学院・農学研究院, 農学研究院研究員 (50620994)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 大気汚染 / 対流圏オゾン / オゾン吸収 / 落葉広葉樹 / 気孔コンダクタンス |
Research Abstract |
ポット植えの苗木を、対象とする季節に開放系オゾン暴露実験施設(03-FACE)に設置することで、オゾン暴露実験をおこなった。実験は、6月初めから9月終わりまでおこない、前期(6月~7月)および後期(8月~9月)に分け、それぞれのオゾン暴露が気孔コンダクタンスおよび光合成速度におよぼす影響を調べた。対象植物として冷温帯植生を代表とする植物種であるウダイカンバを用いた。また、対象植物の季節ごとのオゾン暴露による成長量の違い(樹高、直径、葉数など)を調べた。 前期のオゾン暴露によって、ウダイカンバ苗の幹直径増加量は、7月以降、低下傾向を示した。一方で,樹高成長量に対しては、オゾンの影響は認められなかった。育成終了時の乾重量は、前期のオゾン付加によって低下傾向を示したが、後期のオゾン暴露の影響は認められなかった。以上の結果から、ウダイカンバは成長期の早い時期においてオゾンによる成長低下の影響を受けやすいと考えられる。本実験では、春葉の展開が落ち着いた時点でオゾン付加を開始したが、実験開始後3週間の時点で、すでに幹直径増加量に対する有意なオゾンの悪影響が認められていた。このことから、ウダイカンバの春葉はオゾンの悪影響を受けやすい可能性が考えられる。一方で、北海道におけるオゾン濃度は春季に高くなることが知られており、春季のオゾン濃度の高まりは、ウダイカンバの成長に対して悪影響を与えている可能性がある。 一方で、葉内の光合成能力は、オゾン吸収量にともない、低下した。また、一度、オゾンによって光合成速度が低下した葉でも、オゾン濃度が下がれば光合成速度が回復する場合がある事が明らかになった。この事は個葉においてもオゾンにさらされる時期によって、引き起こされるオゾンの影響が異なる事を示しており,オゾン害からの回復に関する研究も今後必要であると考えられる。
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Research Products
(23 results)