2012 Fiscal Year Research-status Report
農業機械の稼働状況の把握と異常・危険診断システムの構築
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24780243
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
光岡 宗司 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (60437770)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 稼働状況の把握 / 異常値検出 / 振動加速度 / 角加速度 / 時系列解析 / 安全性 |
Research Abstract |
平成24年度では,農業機械の稼働状況の把握を目的として,機体振動計測のために,安価で小型な複数の並進加速度計を用いた並進3自由度と回転3自由度の6自由度加速度計測システムの構築を行った。 近年開発普及が目覚ましい小型で安価なMEMS加速度センサーおよび角速度センサーを用いた6自由度計測システムを構築した。 さらに,両センサーを併用することで,機体の傾斜角の測定についても可能とした。 次に,開発した計測システムを用いて,様々な条件下で比較的稼働部位が多く多様な振動源を有するな自脱コンバインの実作業時の計測実験を行った。 得られた測定データを用いて,周波数解析を行った結果,各稼働状態での特徴的な周波数を検出することが可能であり,本計測システムの有用性が示された。 また,農業機械の稼働状態の常時把握を行うためには,各時刻で振動データの時系列解析や周波数解析を行うのは計算コストの面で得策でなく,状態の変化が発生した時刻の前後の時系列データの特徴量を比較することがより実用的である。そこで,特異値解析による時系列データの変化点検出法を試みた。一般的に,大マトリックスの特異値分解は非常に計算コストがかかるためリアルタイムでの解析が困難である。本研究で目指すリアルタイムでの農業機械の稼働状態の把握のためには,解析時間の高速化が不可欠である。そのため,解析対象となる時系列データから作られるハンケル行列の特異値分解について行列圧縮による計算時間の高速化を図ることで,時系列データの変化点に検出手法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度においては,農業機械の稼働状況の把握が可能な小型で安価なセンサ群を用いた稼働状況計測システムの構築するとともに稼働状況の把握に重要な計測時系列データの変化点検出法を確立しており,おおむね順調に研究計画通りの成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度において開発した計測システムを用いて、正常時および異常時における様々な条件下での農業機械の振動加速度の計測実験を行う。計測対象には、代表的な農業機械であり、事故・故障頻度が高いトラクタと自脱コンバインおよび田植機を用いる。同機械は、非常に多様な事故・故障のケースが存在するが、比較的発生頻度が高い条件に絞って振動加速度の計測を行う。得られたデータを用いて、周波数解析や時間周波数解析が可能なウェーブレット解析等の時系列解析および昨年度確立した変化点解析手法を援用し、時系列データの異常・変化点検知を行うとともに、各異常発生時における振動波形の特徴抽出を行う。 さらに、計測精度や解析精度を検討し、誤差補正を行い、最終的に、農業機械作業状態の把握および危険予知,異常値検出・故障診断システムの構築を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度においては,実際の圃場での作業中において正常時および異常時における様々な条件下での農業機械の振動加速度の計測実験を行う予定である。 また,平成24年度および平成25年度おいて結果が得られた研究成果について内外の学会等で発表を行う予定である。 そのため,平成25年度では,主に実験に伴う旅費や実験補助に関する謝金および研究成果発表のための学会参加や論文投稿に関連する経費とその他の雑費に研究費を支出する予定である。
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