2013 Fiscal Year Research-status Report
γ線スペクトロメーターを用いた多元素輸送速度の同時モニタリングシステムの開発
Project/Area Number |
24780250
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
鈴井 伸郎 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究副主幹 (20391287)
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Keywords | 非破壊計測 / 植物栄養 / 放射線計測 |
Research Abstract |
植物は土壌中に存在する無機栄養元素を、根から選択的に吸収し、茎を介して地上部の必要な器官に輸送・分配し、利用・蓄積している。本研究課題の目的は、γ線スペクトロメーターによる複数元素同時モニタリングシステムを開発し、本システムを用いて植物の栄養獲得機構の物質選択性を明らかにすることである。昨年度の研究において、LaBr3(Ce)検出器によるプロトタイプ機を用いることで、植物体内における元素の動態を2核種同時に計測することに成功した。本年度は、放射能量の経時変化のグラフから、トレーサーが検出器部分に到達した時刻を自動的に算出するプログラムの開発および最適化を行った。 まず、トレーサーの経時変化のグラフを線形近似し、近似直線のX切片をトレーサーの到達時刻と定義した。近似に用いるデータ領域を時間軸方向に移動させ、得られた複数のX切片の値をヒストグラム化し、最も頻度の高い値をそのグラフを代表する到達時刻として採用するアルゴリズムにより、恣意性を排除して自動的に到達時刻を算出するプログラムを開発した。ポジトロンイメージング装置で撮像したダイズのC-11トレーサー実験の動画像から、個体内の2つの節におけるC-11の経時変化のグラフを抽出し、節にC-11が到達する時刻を本プログラムを用いて算出した。この値を用いて複数個体のダイズにおける節間の炭素輸送速度を算出したところ、標準偏差の小さい平均値が得られた。すなわち、本プログラムを用いることで、植物体内における元素の輸送速度を算出することが可能であることが実証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LaBr3(Ce)検出器を用いたプロトタイプ機、および輸送速度を自動算出する計算プログラムが完成しており、本課題は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ダイズの茎切断部からMn-54、Fe-59、Zn-65、Cd-109の4核種のトレーサを投与し、他元素の茎内輸送速度を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初はエネルギー分解能の高いCdTe半導体検出器を購入する予定であったが、既に所有していたLaBr3(Ce)検出器が本研究の目的達成に十分な性能を持つことが分かり、CdTe半導体検出器を購入しなかったため。 植物体内の異なる位置におけるガンマ線スペクトルを同時に計測するために、プロトタイプ機と同型のLaBr3(Ce)検出器を購入する。
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