2014 Fiscal Year Annual Research Report
γ線スペクトロメーターを用いた多元素輸送速度の同時モニタリングシステムの開発
Project/Area Number |
24780250
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
鈴井 伸郎 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究副主幹 (20391287)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 非破壊計測 / 植物栄養 / 放射線計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物は土壌中に存在する無機栄養元素を、根から選択的に吸収し、茎を介して地上部の必要な器官に輸送・分配し、利用・蓄積している。本研究課題の目的は、γ線スペクトロメーターによる複数元素同時モニタリングシステムを開発し、本システムを用いて植物の栄養獲得機構の物質選択性を明らかにすることである。昨年度までの研究において、LaBr3(Ce)検出器によるプロトタイプ機を用いることで、植物体内における元素の動態を2核種同時に計測することに成功した。本年度は、LaBr3(Ce)検出器を追加で1台購入し、1個体の植物の異なる箇所におけるγ線スペクトルの経時変化のデータの取得を試みた。 供試植物として3週令のイネを用いた。基部および最大展開葉の部分にLaBr3(Ce)検出器を配置し、イネと検出器の間には厚さ5 cmの鉛ブロックを置き、2 cm平方の穴(コリメーター)を設置することで、基部あるは最大展開に存在する放射性トレーサ由来のγ線スペクトルを取得する実験系とした。アクリル製の容器にイネの根を挿入し、2 MBqのNa-22(511 keV)とMn-54(835 keV)の2核種を含む水耕液を投与し、1分間毎のγ線スペクトルを4日間連続して測定した。得られた基部および最大展開葉のγ線スペクトルの連続データを用いてNa-22およびMn-54の放射能の経時変化をプロットし、昨年度開発したトレーサの到達時刻を自動的に算出するプログラムを用いることで、Na-22とMn-54の茎内輸送速度を算出することに成功した。
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