2013 Fiscal Year Annual Research Report
コラーゲン加水分解物の経口摂取がヒトと病態モデル動物の血管前駆細胞に及ぼす作用
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24780258
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
江草 愛 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 助教 (90521972)
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Keywords | 血管内皮前駆細胞 / 高血圧自然発症ラット / 鶏コラーゲン加水分解物 |
Research Abstract |
血管幹細胞であるEPCは、損傷した血管の修復や再生に重要な役割を担っている。自家EPC移植は血管再生治療として注目されているが、この方法は患者の身体的負担やEPC培養の煩雑さなど、問題も多い。我々はこれまでに、鶏コラーゲン加水分解物が高血圧自然発症ラットに対しEPC活性化能を有することを明らかにしてきた。そこで今回は、本素材によるヒト及び各種病態モデルラットのEPC活性化とその作用機序の解明を目指した。 初めに、ヒト由来EPCを、血管を脆弱にするAngIIで処理したところ、EPCのコロニー形成能は1/5に減少した。一方、鶏コラーゲン加水分解物の摂取2時間後のヒト血漿を終濃度で1%となるように添加した場合には、コロニー形成能はAngII処理前の1/3にまで回復した。しかし、対照として本素材を摂取していないヒト血漿を添加した場合には、コロニー形成能の回復は認められなかった。この要因として、EPC活性化因子の一つであるVEGF量が、本素材の摂取により5%程度上昇したことが寄与が考えられた。 続いて、高血圧モデルラット(SHR)で確認してきた系が病態特異的に機能を発揮するのかを確認する為、SHRと同系統で高血圧を発症しないWKYや脳卒中発症モデルSHRSP、メタボリックモデルSHR/NDmcr-cpに、本素材を摂取させた際の血中マーカーを評価した。SHRではこれまでの報告と同様に有意な血圧低下が認められたものの、他の病態モデルでは、同様の作用は認められなかった。SHRにおいては、本素材の摂取により血漿中のVEGFの増加が認められたが、他の病態モデルでは変動が認められなかった。一方で、EPCの増殖には影響しないものの、SHRとSHRSPでは本素材の摂取によりリン酸化した内皮型一酸化窒素合成酵素量が増えており、血管の恒常性維持への効果が期待された。
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