2012 Fiscal Year Research-status Report
メドウフェスク由来候補遺伝子移入によるペレニアルライグラスの越冬性向上効果の検証
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24780260
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
田村 健一 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター酪農研究領域, 主任研究員 (10414749)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 分子育種 / イネ科牧草 / ストレス耐性 / 種間雑種 / 移入交雑 / 越冬性 |
Research Abstract |
①メドウフェスク由来越冬性候補遺伝子のホモ型イントログレッション個体の作出と解析 まず本研究で越冬性候補遺伝子の対象とするVRN1、CBFおよび3つのメドウフェスク高発現遺伝子MFH2、MFH3およびMFH4の自然条件の低温馴化時の発現量をメドウフェスク(MF)とペレニアルライグラス(PR)各2品種で比較した。その結果、MFHはMFでPRと比較し5~10倍の発現量を示した。一方、VRN1は種間で有意な発現量の差異は認められず、またCBFは5つのホモログにより異なる傾向を示した。次にVRN1、MFH3およびMFH4について、MF「まきばさかえ」に由来する各遺伝子を含む周辺ゲノム領域がPR「八ヶ岳D12号」に移入した個体間の交配を行った。後代について各候補遺伝子の遺伝子型毎に10~15個体のバルクとして電解質漏出法による葉身の耐凍性を評価した。その結果、VRN1周辺領域の移入について耐凍性の差異が認められ、PR型ホモ、ヘテロ、MF型ホモの順に耐凍性が強かった。一方、MFH3およびMFH4については候補遺伝子の遺伝子型間で耐凍性に明瞭な差異は認められなかった。各遺伝子型3個体を対象に低温馴化時の遺伝子発現量を評価した結果、MFH2およびMFH3については、MF型ホモはPR型ホモの1.5~2倍の発現量であったが有意差はなかった。一方、VRN1はMF型ホモ、ヘテロ、PR型ホモの順に発現量が高く、その差異は有意であった。 ②メドウフェスク高発現遺伝子のシロイヌナズナ過剰発現形質転換体の作出 MFH2、MFH3およびMFH4について35Sプロモータによる過剰発現形質転換体T2世代を作出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イントログレッション個体の解析については、本年度は目的領域の移入個体間交配後代を作出し、その耐凍性を評価することが目的であったが、5つの遺伝子のうち3つの遺伝子についてこれを達成できた。また、そのうちVRN1についてはMF由来遺伝子の耐凍性向上への関与が期待できる結果が得られた。一方、残りの2つの遺伝子領域(CBFおよびMFH2)については、今年度、移入領域を小さくするため、MF由来の当該遺伝子領域が移入した個体をPRにより戻し交雑し、得られた後代のうち、当該遺伝子を含みかつ移入領域の小さい個体を選抜した。シロイヌナズナを用いた遺伝子の機能解析については、計画ではT0形質転換体の作出が目標であったが、実際に解析を行うT2世代まで作出することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
MF由来イントログレッション個体の解析については、本年度各遺伝子型個体が作出できたVRN1、MFH3およびMFH4について、MFホモ型およびPRホモ型個体間で多交配を行い、後代系統について耐凍性検定を行う。また雪腐病抵抗性への関与が期待されるMFH3については黒色小粒菌核菌による接種検定を行う。VRN1については、現在得られている個体にはVRN1が座乗する4番染色体の他に2番染色体にもMF由来領域が移入していることが明らかになっており、試験精度に影響を及ぼす可能性が考えられる。そこで別に4番染色体の該当領域のみMF由来の移入が認められる個体間の交配を行い、これらの材料についても解析を行う。CBFおよびMFH2については本年度得られた移入個体間の交配を行い、遺伝子型毎に予備的な耐凍性の評価を行う。シロイヌナズナ形質転換体については計画通りT2世代を用いて耐凍性および雪腐病抵抗性の検定を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題の推進のため、次年度の研究費は、交付申請時の計画通り使用する。なお、次年度使用額(約22.3万円)は、研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度に請求する科研費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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Research Products
(4 results)