2013 Fiscal Year Annual Research Report
プロゲステロン非活性化酵素依存的な優勢卵胞選抜とブタ,ウシの新規IVG法の開発
Project/Area Number |
24780271
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
山下 泰尚 県立広島大学, 生命環境学部, 准教授 (50452545)
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Keywords | 卵成熟 / 卵胞発育 / 排卵 / 卵胞培養 / 産業動物 / プロゲステロン / AKR1C1 |
Research Abstract |
ブタやウシでは黄体存在化に卵胞発育し、一部の優勢卵胞が選抜される。黄体は着床成立や妊娠維持のために必須のプロゲステロン(P4)を産生するが、一方、卵がP4に曝されることは卵成熟に不の影響を及ぼすことから、優勢卵胞はP4による不の影響をキャンセルする能力が備わっていると考えられる。本研究では、P4非活性化酵素(AKR1C1)が優勢卵胞選抜の鍵因子であると仮定して、その役割と応用を目的に研究を行った。優勢卵胞では卵胞膜細胞と基底膜間に血管新生が生じることから、血管新生の有無で3mm>、4-7mm、8mm<の卵胞を選別し、顆粒膜細胞、卵胞液、卵丘細胞卵複合体(COC)を採取した。顆粒膜細胞はAKr1c1とP4合成遺伝子(Cyp11a1)の発現測定に供し、卵胞液はエストロゲン(E2)とP4値測定に供した。その結果、Akr1c1発現は、血管新生+の3mm>、4-7mmで高値を示し、8mm>で低値を示した。一方、3mm>の血管新生-では全ての卵胞サイズで低値を示した。Cyp11a1発現は8mm<で血管新生+が血管新生-に比べ高値を示し、P4も8mm<で高値となった。血管新生+のE2値は4-7mmで高値を示し、8mm<で低値を示したが、血管新生-では3mm>、4-7mmで低値を示し、8mm<で高値を示した。以上から血管新生+で卵胞発育期に高E2値低P4値、排卵期に低E2値高P4値であることが明らかになった。このことから、卵胞発育時のE2P4環境を模倣した新規IVG法の開発を試みた。4-7mm以下のブタ卵胞からCOCを採取し、血管新生+の4-7mmのE2P4環境で体外発育培養(IVG)を行い、その後排卵期のE2P4環境で体外成熟培養(IVM)を行ったところ、MII率、受精後の胚盤胞期胚率は約40%と高値を示したが、血管新生-のCOCのMII率、胚盤胞期胚率も飛躍的に向上した(胚盤胞期胚率約40%)。卵巣一個当たりの血管新生+と血管新生-の割合は1:1であったことから、本新規IVG法を適応することは、胚盤胞期胚数を2倍に向上させる結果となり、畜産分野へ大きく貢献するものであると考えられた。
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