2013 Fiscal Year Annual Research Report
摂食促進ペプチドNPYを介した仔育てに伴う栄養損失に対する自己防衛機構
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24780282
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
室井 喜景 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (80552760)
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Keywords | 養育行動 / Neuropeptide Y / 背側縫線核 / Y1受容体 / セロトニン / GABA |
Research Abstract |
昨年度までに、背側縫線核のNPYY1受容体を介して絶食中に母マウスの養育行動は抑制されることを明らかにした。この結果を踏まえ、Y1受容体発現細胞を免疫組織化学的手法により解析したところ、5-HT神経とGABA神経がY1受容体を発現していることがわかった。次に通常飼育母マウスと絶食した母マウスの間でc-Fosの発現を比較したところ、仔を提示した場合、通常飼育母マウスに比べて絶食した母マウスでc-Fos を発現しているGABA神経の数が有意に減少した。一方、c-Fos を発現している5-HT神経の数に差はなかった。以上の結果から、絶食によりGABA神経の活動が抑制される可能性が示された。一方、c-Fos を発現した5-HT神経の数に差がなかったのはGABAによる抑制が弱まっている可能性を考え、絶食時にNPYが5-HT神経とGABA神経両方の活動を抑制している可能性も考えた。NPYによる両神経の抑制が養育行動の抑制に関与しているかを明らかにするため、5-HT神経に対して興奮性に働く5-HT2A受容体作動薬DOI、GABAA受容体作動薬muscimol、GABAB受容体作動薬baclofenを絶食した母マウスの背側縫線核に投与した。Muscimolは養育行動に影響しなかったが、DOIを投与した場合には仔を巣へ連れ戻したり、覆いかぶさりをしなかったが、巣を維持するようになった。このことから、5-HT神経を活性化するだけでは養育行動は完全に回復しないことがわかった。またbaclofenは巣作り、巣への連れ戻し、覆いかぶさりのそれぞれを異なる用量で回復した。シナプス前膜と後膜のGABAB受容体はbaclofenに対する感受性が異なることから、養育行動の異なる成分(巣作り、巣への連れ戻し、覆いかぶさり)が別々に、シナプス前膜と後膜のGABAB受容体によって制御されている可能性が示された。
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