2012 Fiscal Year Research-status Report
イバラキウイルスにおける新規遺伝子操作系を用いた複製機構の解明
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24780285
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松尾 栄子 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40620878)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リバースジェネティクス / 二本鎖RNAウイルス / ウイルス複製 |
Research Abstract |
1. 既報の精製方法を改変した新しい簡易精製法を用いて、イバラキウイルス(IBAV)のcore粒子を感染細胞(BHK-21)から精製し、SDS-PAGEおよび電子顕微鏡観察にて純度等を確認した。そのcore粒子を用いてin vitro でのmRNA合成に成功した。また、core粒子からゲノムdsRNAを精製し、配列非特異的RT-PCR法を用いて10分節それぞれの全長cDNAクローンを作製し、全塩基配列を確認したところ、既報の配列とは異なる箇所があることが分かった。 2. 初期複製機構に必要と考えられるIBAVタンパク質のうち、まず VP1、VP3、VP6をコードする分節S1、S3、S9の翻訳領域をほ乳動物細胞用高発現ベクターに導入した。 3. IBAV His-tagged VP1発現組換えバキュロウイルス用 transfer vectorを作製した。 4. 遺伝子操作系(RGシステム)構築のため、IBAVが効率よく増殖できる培養細胞系を決定した。ハムスター由来細胞であるBHK-21およびHmLu細胞においてIBAVが効率よく増幅することが分かった。一方、マウス由来細胞であるNMuLiではIBAV感染性が非常に低く、細胞内でのRNA複製は行われているものの培養上清中への感染性ウイルス粒子の放出率が極めて低いことが分かった。 5. IBAVと同属であるブルータングウイルス(BTV)の研究結果を参考に、致死的変異IBAVに導入する変異VP6候補の一つとして、VP3結合能力欠損 IBAV VP6の作製を試みた。まず、IBAVのVP3とVP6が結合することを明らかにした。更に、BTVで明らかにしたVP6のVP3結合領域の結合モチーフがIBAV VP6にも存在することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画遂行のための各種実験許可ならびに施設使用許可の収得といった実験準備に1年近く費やしてしまったため、主にRGシステム構築が遅れた。その間、H25年度以降に予定していた計画のいくつかを先に遂行したが、RGシステムの完成を前提とした実験が多いため、全体として「やや遅れている。」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度は、まず、遅れていたRGシステムを完成させ、IBAV初期複製機構を解明する。初期複製機構の解明にあたっては、RGシステムの構築と平行して、ヘルパー細胞とオリジナルのIBAVを用いた手法を先に試みる。また、VP1の精製を行い、in vitro polymerase assay系を完成させる予定である。 RGシステムが完成され次第、当初の計画通り、RGシステムを用いて、VP6変異ウイルスを作製し、その解析を行う。同時に、RGシステムとin vitro polymerase assay系を用いたcis-acting elementおよびpackaging signalの探索を順次遂行する予定である。また、当初は研究計画に含んでいなかったが、IBAV研究に必要な抗体の作製を計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度の研究費は主にRGシステム関連の消耗品(ssRNA合成試薬、プラスミド精製試薬、transfection試薬など)ならびに、細胞培養関連の消耗品、細菌培養関連の消耗品に充てる予定である。また、抗体作製の一部に充てる予定である。
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Research Products
(8 results)