2013 Fiscal Year Annual Research Report
脳の養育中枢における摂食調節分子アミリンの新規機能の解明
Project/Area Number |
24780292
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
恒岡 洋右 東邦大学, 医学部, 助教 (50549011)
|
Keywords | アミリン / 社会環境 / 性差 / 内側視索前野 |
Research Abstract |
養育行動は哺乳類の繁殖に必須であり、社会経験などにより可塑的に変化する。養育行動の制御機構解明は効率的な繁殖、子世代の育児放棄や不安行動・攻撃性の増加といった問題の解決において重要である。脳の内側視索前野の一部にある、養育に必須と考えられている部位ではアミリンと呼ばれる摂食関連ペプチドの受容体Calcrが発現していることが申請者らの研究から示唆されている。また、アミリンの発現量は社会経験などによる養育行動の変化と高い相関を示していたことから、アミリンは養育行動を制御している可能性が高い。本申請研究ではアミリンの養育行動における機能についての知見を得ることを目的とした。生理状態、社会経験などによって養育行動は可塑的に変化することが知られており、アミリンが養育行動の各要素にどのような機能を持つかを検討するため、以下3点について調べた。1)性差、齢差、社会経験によってアミリンの発現は劇的に変化し、特に雌マウスにおいて、同居個体の有無、さらに同居個体との社会的関係性がアミリンの発現を決定付ける要因であることが明らかになった。2)アミリン及びその阻害剤の脳内注入による行動への影響を調べたところ、アミリンには強力な摂食抑制効果が認められた。また、アミリンの投与により、攻撃行動の低下や匂い刺激反応性の低下の傾向も観察された。一方で養育行動に関してはアミリンの影響を観察できなかった。3)アミリン受容体Calcr遺伝子の養育中枢特異的KOマウスを作成し養育行動解析を行う予定であったが、KOマウスクローンの作出に予定よりも時間がかかり、表現型解析には至っていないため、今後も継続して検討する予定である。
|