2014 Fiscal Year Annual Research Report
イヌ組織球増殖性疾患に対する抗マラリア薬アルテミシニン誘導体の評価
Project/Area Number |
24780304
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
細谷 謙次 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 准教授 (50566156)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腫瘍 / 抗がん剤 / 新規治療 / がん治療 / 犬 / 組織球性肉腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では、昨年度に引き続き、腫瘍細胞株パネルにおいてジヒドロアルテミシニン(DHA)感受性と鉄代謝タンパク質発現量の関係性について分析した。また、研究者らが過去に実施した正常犬におけるDHAの薬物動態実験の追試を行った。 各細胞株におけるDHAのIC50は8.16~54.5uMと感受性に幅があることが確認された。また、犬およびマウス正常線維芽細胞においてDHAが細胞障害性を示さないことが確認された。また、全腫瘍細胞株においてDHAの細胞障害性は鉄のキレートにより抑制され、鉄の添加により増強された。 次いで、犬組織球性肉腫細胞株およびマウス扁平上皮癌細胞株の担癌マウスモデルを作成し、in vivoでの抗腫瘍効果の検証を行った。前年度に作成が難航していた血球貪食性組織球性肉腫細胞株の担癌マウスの作成は、本年度も成功せず、in vivoでの試験は日血球貪食性の細胞株でのみ実施された。In vitroにおいて中等度のDHA感受性を示したCHS-4犬組織球性肉腫細胞株では、有意な抗腫瘍効果は認められなかった。一方、in vitroにおいてDHA感受性が認められず(IC50>100uM)、鉄添加により顕著にDHA感受性が増強した(IC50: 1.42uM)細胞株において、担癌マウスモデルでは有意な腫瘍増殖抑制効果が観察された。同細胞においては、トランスフェリン受容体の発現量が、正常線維芽細胞と比較して約10倍に増加していることが確認され、in vivoにおける有意な抗腫瘍効果が、トランスフェリンを介した鉄の細胞内取り込みにより増強されたものと考えられた。In vivoにおいて抗腫瘍効果が認められなかったCHS-4細胞株においては、トランスフェリン受容体発現量は正常線維芽細胞よりも有意に低かった。一昨年度の実験結果から推測された、血球貪食を介した直接的なヘム分子の取り込みによる細胞内鉄含有量の増加がDHA細胞毒性を増強させる可能性については、担癌マウスでの検討ができず、今後の課題と考えられた。
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Research Products
(1 results)