2013 Fiscal Year Research-status Report
新たな犬好中球機能不全症の病態解明と新しい治療法へのアプローチ
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24780305
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
小林 沙織 岩手大学, 農学部, 助教 (60566214)
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Keywords | 好中球機能不全症 / インテグリン |
Research Abstract |
本研究は、申請者が発見した新しいタイプ、すなわち、殺菌能不全を主とする好中球機能不全症の犬に対して、ウシラクトフェリンの経口投与がその好中球機能を回復させた点に焦点を当てたものである。これまでの申請者の研究から、本病態には、好中球における膜CD18レセプターの発現低下とそのタンパクをコードするβ2インテグリン遺伝子の発現低下が強く関与することが示唆されている。さらに、この好中球機能不全症は家族性で認められたことから遺伝的背景が強く疑われたが、非常に類似した病態である犬白血球粘着不全症で報告のあるβ2インテグリン遺伝子の同様箇所での、CD18タンパクの異常を起こすような変異はまだ見つかっていない。また、β2インテグリン遺伝子のmRNA配列は部分的な報告しかなかったことから、H24年度では、遺伝的背景を探る目的で、健常犬の好中球のmRNAを対象にCD18タンパクをコードするイヌβ2インテグリンmRNAの解析を試みた。 H25年度では、本症例犬のβ2インテグリン遺伝子のmRNA配列の解析を進め、健常犬との比較を試みた。本症例犬でのタンパク翻訳領域での変異は1カ所の塩基配列の変異が認められたがアミノ酸の変化は起こらない位置であったことからβ2インテグリン遺伝子の発現の低下およびCD18タンパクの発現低下には直接関与していないものだと考えられた。現在、非翻訳領域での遺伝子配列の解析をすすめ、β2インテグリン遺伝子のプロモーターアッセイを実施するための測定機材および手技の確立を行っているところである。また、イヌβ2インテグリン遺伝子のプロモーター領域の情報がないため、プロモーターアッセイ用の最適プライマーの選定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
プロモーター領域を含めた遺伝子配列の情報収集およびプロモーターアッセイの準備に予想以上に時間を要したこと 年度途中で、妊娠し体調が優れず研究時間がとれなかったこと
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Strategy for Future Research Activity |
1)本症例犬におけるプロモーター領域を含めた非翻訳領域の検討を実施する 2)β2インテグリン欠損マウスにおける好中球機能異常症の病態検索・ウシラクトフェリンの経口投与試験を実施する 3)疾患モデルマウスの治験をもとに、本症例犬における好中球機能不全症の機構の解明を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度途中で、妊娠し体調が長期間優れず研究時間がとれなかったことによる 産前産後の休暇・育児休業の取得に伴う本基金の補助事業期間延長承認申請書を提出したうえで、H28年4月1日から研究を再開する予定である。 妊娠による体調不良で遅れた研究計画を遂行するために、本助成金を使用する予定である。現在のところ、PCRおよびウェスタンブロッティングの検出に使用するケミルミイメージャーを備品として購入予定である。
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Research Products
(3 results)