2012 Fiscal Year Research-status Report
火山灰土壌の有機物集積メカニズムを利用した土壌への炭素固定法の開発
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24780320
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
頼 泰樹 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (30503099)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 土壌DNA / 火山灰土壌 / DGGE / バイオマス |
Research Abstract |
火山灰土壌、沖積土壌各3点の土壌に有機物として大豆の収穫残渣と稲わらをそれぞれ添加し、経時的に土壌RNAを抽出する。また土壌有機物を酸化除去できる350℃の熱処理により、従来含まれていた有機物をほぼ完全に除去した土壌についても同様に有機物を添加し、分解過程を追跡する。 土壌RNAの解析は、DGGEを用い16SrRNAでバクテリア、18SrRNAにより真菌類の群集解析を行い、どのような微生物が有機物分解を行っているかを明らかにする。mRNAはRT反応によりcDNAライブラリーを作成、各サンプルについてシーケンス解析を行い、有機物分解過程における発現遺伝子、特に分解酵素群の同定を進めている。 火山灰土壌については難抽出性であった一部のアロフェン質黒ボク土からの土壌DNA,RNA抽出法に改良を加え、それらを用いた土壌微生物バイオマスの定量的測定法も確立する。 バイオマス定量法については火山灰土壌を含む幅広い土壌間においてクロロホルム燻蒸抽出窒素と土壌DNAとの間に極めて高い相関があることを明らかとした。この結果について現在論文を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
土壌から抽出したDNA,RNAの解析は進行中である。土壌DNAによるバイオマス定量について従来土壌中の微生物バイオマスを定量するために幅広く行われてきたクロロホルム燻蒸抽出窒素との間に極めて高い相関があるという新たな知見が得られ、これについて投稿論文にまとめ現在投稿している。
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Strategy for Future Research Activity |
土壌に含まれていた有機物に対して新たに添加した有機物の分解物がどのような重合反応をする可能性があるかについて検討する。 有機物の腐植化は土壌に添加した有機物の分解物から新たな腐植分子が生成されるわけではなく、微生物分解により生じた低分子の腐植の前駆体(材料)が元から存在している腐植にさらに重合することで腐植の巨大分子が生成される可能性が高い。 13C標識植物を土壌に添加することで、13C安定同位体標識技術とLC/MSを用いた実験系を構築する。13C標識有機物を作成し、これを土壌に添加し、代謝、分解により生じる低分子化合物をLC/MSで測定する。13Cを含む化合物は同じ化学組成でも13Cの数だけ高分子側へシフトするので、土壌に元から含まれていた化合物と識別することが可能になる。また土壌から腐植画分を抽出しMS/MS分析で腐植分子のフラグメント解析を行い、腐植分子の外殻に重合した13C化合物をフラグメンテーションで解離させ経時的に分析していく。この13C化合物は新たに添加した有機物から腐植分子に重合した腐植の前駆体と想定でき、その同定と挙動について分析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
同位体標識植物試料作製用のガス置換用チャンバーを制作し、13CO2を常時供給することにより植物体を構成する炭素の99%以上が13Cである大豆、水稲、ルーピンを栽培する。 同時に窒素についても15Nで標識するために15N-Ureaを与え、13Cおよび15Nで構成させる植物試料を得る。この実験のため主としてアクリル製のデジケータ、安定同位体化合物の購入を予定している。
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