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2013 Fiscal Year Research-status Report

ラン藻イシクラゲを用いた放射性物質汚染土壌の浄化に関する研究

Research Project

Project/Area Number 24780321
Research InstitutionIwaki Meisei University

Principal Investigator

佐々木 秀明  いわき明星大学, 科学技術学部, 准教授 (30405998)

Keywords放射性セシウム / ラン藻 / イシクラゲ / バイオレメディエーション
Research Abstract

イシクラゲ乾燥体30gを化学合成培地に浸した後,福島県いわき市内で採取した砂質土1kg(Cs-134:4970Bq/kg,Cs-137:6540Bq/kg)およびローム層土(Cs-134:405Bq/kg,Cs-137:719Bq/kg)が1kg入ったバットに散布し,30日間の栽培を実施した。栽培は屋外(6月)および人工環境装置(10~30℃)で行った。イシクラゲは栽培後,水洗,風乾,65℃による乾燥後,粉砕し,U8容器に封入後,Ge半導体検出器で放射性セシウム(Cs-134,Cs-137)の放射能濃度を測定した。屋外環境下で30日間の栽培実験を行った結果,イシクラゲが蓄積したCs-137の放射能濃度は,砂質土において11700 Bq/kg,ローム層土において458Bq/kgであった。移行係数は,砂質土において1.79,ローム層土において0.64であり,砂質土におけるイシクラゲへの高い移行が確認された。同様に,人工環境下においても砂質土での移行係数が1.32~1.56であるのに対し,ローム層土では0.33~0.44と低い値を示し,土壌の性質によってイシクラゲの放射性セシウム蓄積に大きな違いが生じることが明らかになった。
福島県南相馬市の6地点(A~F)において,2013年4月より10月までオンサイトにおける除染実験を行なった。ネット上に載せたイシクラゲを土壌表面に設置,30日間の栽培後,回収した。その後,同一箇所に新たなイシクラゲを設置し,30日間栽培,これを計6回行った。その結果,1カ所を除く全ての地点で実施後の土壌での放射性物質濃度の減少が認められた。効果があったE地点では、Cs-137が21700Bq/kgであった土壌が6回のイシクラゲ設置後,3940 Bq/kgまで減少した。設置したイシクラゲはCs-137が684~1760 Bq/kgと設置の度に放射性セシウムを吸収していた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

人工環境下における栽培実験の結果,イシクラゲが放射性セシウムを吸収・蓄積していることが確認できた。自然環境下におけるイシクラゲの放射性セシウム高濃度蓄積が確認されているが,蓄積された放射性セシウムが土壌由来なのか,あるいは降雨等による降下物由来なのかは区別がつかない状況であった。本研究結果から,土壌から直接放射性セシウムを吸収・蓄積していることが確認でき,除染への応用が可能であることが示唆された。
また,土壌の性質によってイシクラゲへの放射性セシウムの移行に大きな違いがあることが確認された。イシクラゲは砂状土壌で効果を発揮することから,砂利道や駐車場等の除染に有効であることが考えられた。

Strategy for Future Research Activity

平成26年度はイシクラゲの放射性セシウム吸収と土壌の性質について,より深く検討する予定である。イネや野菜等ではカリウムの散布により,放射性セシウムの植物体内への移行阻止が報告されているが,イシクラゲにおいても同様の現象が観察されるかを検討する。また,細胞内及びその周辺に蓄積された放射性セシウムによるイシクラゲ細胞へのストレスの有無を,遺伝子発現の観点から検討する予定である。現状ではイシクラゲ細胞のゲノム解析は行われていないので,現在はストレス応答に関与する遺伝子の単離を試みている。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成25年度購入予定物品(分光光度計)が予定より安価で購入できたため,次年度使用額が生じた。
放射能濃度測定におよびイシクラゲ栽培に要する物品の購入を行う予定である。また,イシクラゲ細胞のストレス応答を明らかにするため,遺伝子解析に要する物品の購入も行う予定である。また,研究成果の公表のために学会発表を行う予定であり,その費用に研究費を使用する予定である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2013

All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Accumulation of radioactive cesium released from Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant in terrestrial cyanobacteria Nostoc commune.2013

    • Author(s)
      Sasaki H, Shirato S, Tahara T, Sato K, Takenaka H
    • Journal Title

      Microbes and Environments

      Volume: 28 Pages: 466-469

    • DOI

      10.1264/jsme2.ME13035

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 陸生藍藻イシクラゲ(Nostoc commune)による生物除染の可能性2013

    • Author(s)
      竹中裕行,山口裕司,榊節子,佐藤健二,佐々木秀明
    • Journal Title

      Algal Resources

      Volume: 5 Pages: 53-60

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Effect of overexpression of proline dehydrogenase on high saline adaptation through proline utilization in Escherichia coli.2013

    • Author(s)
      Sasaki H, Oshima A, Ishida A, Nagata S
    • Journal Title

      African Journal of Microbiology Research

      Volume: 7 Pages: 245-251

    • DOI

      10.5897/AJMR12.2117

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 福島第1原発事故による汚染土壌からの放射性セシウムの除去と吸着2013

    • Author(s)
      佐藤健二, 瀧内 伸, 角田美里,鈴木龍馬,佐々木秀明,坂本直道
    • Journal Title

      分析化学

      Volume: 62 Pages: 535-540

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 福島県いわき市に発生している雑草の放射性セシウム含量2013

    • Author(s)
      好野奈美子,坂本祥太,佐々木秀明
    • Organizer
      日本雑草学会第52回大会
    • Place of Presentation
      京都市(京都大学)
    • Year and Date
      20130412-20130414
  • [Presentation] 海藻類における放射性セシウム蓄積と福島第一原子力発電所からの距離との関係2013

    • Author(s)
      佐々木秀明,會田大来,北村晃,三村真理・三村徹郎,川井浩史
    • Organizer
      平成25年度日本水産学会春季大会
    • Place of Presentation
      港区(東京海洋大学)
    • Year and Date
      20130326-20130330

URL: 

Published: 2015-05-28  

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