2012 Fiscal Year Research-status Report
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24780325
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
染谷 信孝 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 研究員 (60360575)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 細菌機能制御 |
Research Abstract |
植物病原菌に抗菌活性を示す抗菌物質2,4-ジアセチルフロログルシノール(DAPG)を産生する生物農薬候補菌である蛍光性シュードモナス菌株は植物共生細菌の一員として見出される。本課題では、Pseudomonas protegens近縁種およびPseudomonas brassicacearum近縁種の各代表菌株について、DAPG生合成遺伝子の発現状況を解析した。特にDAPG生合成遺伝子のサプレッサーを解除するsmall RNAの発現状況を解析した結果、菌株ごとにsmall RNAの発現状況が異なることが判明した。一方で各代表株のうち、特定菌株のDAPG産生を阻害する環境、具体的には他微生物代謝物であるフザリン酸添加時におけるDAPG生合成遺伝子の発現状況をマイクロアレイ解析にて比較した。その結果、Pseudomonas protegens近縁種においてフザリン酸添加時にDAPG生合成遺伝子そのものが低下する他に、複数の遺伝子群が発現低下することが判明した。一方でPseudomonas brassicacearum近縁種においてはそれらの遺伝子の発現状況が異なっていた。今回、認められたDAPG生合成関連遺伝子の発現プロファイルと、実際のDAPG産生条件、植物病原体に対する抗菌活性の強弱を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗菌物質2,4-ジアセチルフロログルシノールを産生する蛍光性シュードモナス菌についての、DAPG生合成のON/OFF、産生量に関わる遺伝子群が推定できた。特に金属獲得能に関わる遺伝子群の発現状況が形質としてのDAPG産生とリンクしている事が分かった点は大きい。各遺伝子の役割については、個々の遺伝子の破壊実験および発現解析が必要であるが、二年目以降に検討予定である。またsmall RNAの発現についても、種レベルで異なるPseudomonas属菌群により、その発現量が異なることが分かってきた。抗菌物質DAPGの産生制御メカニズムが徐々に解明されつつ有り、安定したDAPG産生を示す菌株の推定及びその科学的裏付けがとれつつある。以上の結果から、計画は順調に進行していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の解析により、DAPG産生阻害物質であるフザリン酸存在時に、大きく発現低下する遺伝子群が分かってきた。特に金属獲得に関わるトランスポーター遺伝子群およびPyrroliquinoline quinone (PQQ)関連遺伝子群が本現象に関わることが分かってきたため、これらの遺伝子の個々の役割及び発現状況と、DAPG産生という形質との関連性を追求する。また種レベルで異なるDAPG産生量及び制御機構の違いも併せて解析する。最終的には様々な環境要因存在下で安定した、または高いDAPG産生が期待できる菌株の提示を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題の推進のため、次年度の研究費は基本的に交付申請時の計画通り使用する。なお、次年度使用額240000円は、研究費を効率的に使用して発生した残額で有り、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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