2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24780325
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
染谷 信孝 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 総合企画調整部, 主任研究員 (60360575)
|
Keywords | 生物農薬 / 抗菌物質 / 生合成阻害 / 感受性 / 他生物代謝物 / シュードモナス |
Research Abstract |
抗菌物質2,4-diacetylphloroglucinol(DAPG)を産生する蛍光性シュードモナス属細菌は、植物病害に対する生物農薬候補である。本課題では、日本各地の植物根由来のDAPG産生シュードモナス属細菌株におけるDAPG産生能および環境ストレスの影響について解析した。まず植物根由来のシュードモナス続載菌3,000株からDAPG産生能が認められた約50株について遺伝的多様性解析を行った結果、種レベルでおおよそ5つのグループに分かれることが判明した。そしてこの遺伝的グループごとに植物病原菌代謝物であるフザリン酸等、ストレス要因となる他生物代謝物に対する感受性が異なることが判明した。本課題ではさらに、ストレス要因に対する菌株間の感受性差を調査した結果、Pseudomonas protegens種に近縁の遺伝的グループに属する菌株が特異的に、フザリン酸感受性であることが判明した。他の研究課題において判明したフザリン酸存在下での遺伝子発現情報を元に、本現象が鉄分要求性と関連性が高い可能性が示された。そこでフザリン酸およびその類縁化合物の影響下において、外部からの鉄分投与実験を行った結果、フザリン酸によるDAPG阻害が外部鉄分供給により回復することが認められた一方で、遺伝的グループによっては逆にフザリン酸およびその類縁化合物がDAPG産生に対する促進要因となる可能性も示された。これらの結果から、特定の環境ストレス要因存在下でも安定したDAPG生産性を示す、またはストレス要因存在下でDAPG産生が促進されるような菌株は優れた生物農薬候補になり得る可能性が期待された。
|