2012 Fiscal Year Research-status Report
シロイヌナズナ熱ショック転写因子A1dおよびA1eの活性化機構の解明とその利用
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24780331
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
薮田 行哲 鳥取大学, 農学部, 准教授 (00379562)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 熱ショック転写因子 / シロイヌナズナ / タンパク質間相互作用 |
Research Abstract |
熱ショック転写因子(Hsf)は真核生物全般に広く保存され、ストレス応答に重要である。ヒトや線虫、酵母には1~4 つのHsfが存在する。それに対して、高等植物では20以上ものホモログが存在し、構造の違いからクラスAからCの3クラスに分類され、さらにそれらは細かく分類されている。その中でもHsfA1d/A1eはシロイヌナズナのHsfを介したストレス応答のマスターレギュレーターであることが明らかになりつつある。HsfA1d/A1eは通常条件下で発現しており、Hsp90 との結合により不活化されている。ストレス下ではHsp90 と解離し、活性化を受け標的遺伝子を誘導していると考えられる。動物では不活化は同様のメカニズムが、活性化にはHsf のリン酸化などのタンパク質の修飾が関与していることが明らかになっている。しかしながら、HsfA1d/A1eの活性化に関わるタンパク質など分子メカニズムは不明である。 そこでこのようなタンパク質を単離するため、本年度は酵母ツーハイブリッド法によりHsfA1dおよびHsfA1eと相互作用するタンパク質の単離を行った。その結果、12のクローンを得る事ができた。現在シークエンス解析により同定を行っている。 また、相互作用因子がHsfA1d/A1eの転写活性化能へ及ぼす影響をルシフェラーゼアッセイにより解析するために、既に作成したコンストラクトに加え、効率的な解析が可能であるマルチカラールシフェラーゼアッセイに対応するコンストラクトも新たに作成した。 またこれまでに植物の熱応答に異常を持つ変異株が複数同定されている。そこでこれらの変異がHsfA1d/A1eの活性化に及ぼす影響を解析するため、種々のT-DNA挿入株の単離も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
酵母ツーハイブリッド法によりHsfA1d/A1eと相互作用するタンパク質の単離を試みたが、転写因子であるHsfA1d/A1eをベイトとした時、HsfA1d/A1eが持つ転写活性化能により擬陽性のコロニーが多数出現した。そこで、転写因子と相互作用するタンパク質の単離に適したスプリットユビキチン酵母ツーハイブリット法により単離を試みた。しかしながらこの場合も擬陽性が多く、条件の最適化に苦慮した。
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Strategy for Future Research Activity |
スプリットユビキチン酵母ツーハイブリット法によりHsfA1d/A1eと相互作用するタンパク質をコードしていると思われる12のクローンを得る事ができた。今後、シークエンス解析により同定を行う。また、免疫沈降による相互作用因子の同定も視野に入れ、HsfA1d/A1eの抗体作成なども実施する。 一方、植物の熱応答に異常を持つ変異株が複数同定されており、これらを用いたHsfA1d/A1eの活性化に及ぼす影響を解析すると共に、種々の薬剤処理によるHsfA1d/A1eの標的遺伝子の熱応答に及ぼす影響を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当無し
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