2012 Fiscal Year Research-status Report
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24780334
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
新屋 友規 岡山大学, 資源植物科学研究所, 助教 (80514207)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | キチン / シロイヌナズナ / イネ / 受容体 / 植物免疫 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
植物は真菌細胞壁の構成成分であるキチンを認識し、微生物に対する植物免疫を活性化させることが知られている。この認識には2種類の膜受容体(CEBiP型分子とCERK1型分子)が関与することを報告している。イネにおいてはCEBiP型分子とCERK1型分子の両方がキチン認識に寄与することが知られていた。一方シロイヌナズナにおいては、CERK1型分子がキチン認識に必須であることは明らかにされていたが、CEBiP型分子の寄与は不明であった。平成24年度は、シロイヌナズナのキチン認識機構におけるCEBiP型分子の関与を明らかにするために、キチン結合能のあるCEBiP型分子であるAtCEBiPの欠損変異体、およびAtCEBiPを含むすべてのCEBiP型分子を欠損させた3重変異体を用いてキチン応答解析を行った。その結果、いずれの変異体もキチン応答性に変化が認められず、シロイヌナズナにおいてCEBiP型分子はキチン認識に関与しておらず、イネのキチン認識機構と異なることが示唆された。さらにCERK1型分子の機能解析としてキチン結合能を解析したところ、イネOsCERK1がキチンに対して結合能を示さないのに対して、AtCERK1はキチン結合能を有することが示された。以上の結果は、シロイヌナズナ・イネともに構造的に類似した蛋白質を有しているが、イネがキチン認識系においてCEBiP/OsCERK1の2種の受容体を必要とするに対して、シロイヌナズナのCEBiP型分子はキチン応答に関与せず、CERK1が単独で受容体として機能する可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題において重要な実験材料となる変異体の作成が計画通り進み、これら変異体を用いたキチン応答解析を実施し、研究目的を達成するための重要な研究成果を得た。CERK1型分子の機能解析のためにベンサミアナタバコ発現系を利用したが、この系も計画通り機能し、CERK1型分子のキチン結合特性に関する知見を得た。以上のように本研究課題は研究計画に沿っておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きシロイヌナズナのAtCEBiPが植物免疫系においてどのような役割を持っているのか機能解析を進める。またCERK1型分子の機能解析としてBiacoreを用いた解析を試みる。一方で、CERK1型分子によるキチン認識後の細胞内シグナル伝達機構の解析として、受容体様細胞質キナーゼに着目した解析を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
課題の一部を次年度に行うこととなったが、研究課題全体としておおむね順調に進展しており、次年度も実験実施計画に従い、試薬・分子生物学試薬および消耗品の購入に使用する。研究成果の発表および情報収集のため学会への参加するため、また研究打ち合わせを行うための旅費を手当てする。
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Research Products
(7 results)