2013 Fiscal Year Annual Research Report
不溶性高分子担持型ロジウム(II)錯体の創製と触媒的不斉合成プロセスの開発
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24790001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坪和 幸司 (竹田 幸司) 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (00572497)
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Keywords | 不斉触媒反応 / ロジウム(II)錯体 / 固相触媒 |
Research Abstract |
四つの配位子のうち一つにスチリル基を組込んだ単量体Rh2(S-TFPTTL)4誘導体を合成し、共重合反応に付すことで不溶性高分子担持型Rh(II)錯体を調製した。本錯体は(2-ニトロフェニルスルホニルイミノ)フェニルヨーディナンをナイトレン前駆体とするシリルエノールエーテルの不斉アミノ化反応においてRh2(S-TFPTTL)4と同等のエナンチオ選択性 (92%ee) を示し、収率、不斉収率を損なうことなく20回の繰り返し使用が可能であった。 次にRh2(S-TCPTTL)4の固相担持を試みたが、全てのフタルイミド基の水素原子を塩素原子で置換した単量体Rh(II)錯体を調製することはできなかった。そこでRh2(S-PTTL)(S-TCPTTL)3誘導体を調製し、2-(トリフルオロメチル)スチレン及び架橋剤との共重合反応を行い固相Rh(II)錯体を合成した。本固相触媒存在下、α-ジアゾ-β-ケトエステルをカルボニルイリド前駆体、スチレンを求双極子剤とする不斉1,3-双極付加環化反応を行った場合、完璧なexo選択性かつRh2(S-TCPTTL)4と同等のエナンチオ選択性 (99% ee)で付加環化体が得られた (収率69%)。収率の改善を志向して、管径1 cm、管長8 cmの反応容器に固相触媒 (32 mg)と海砂 (4 g)を充填したフローリアクターを用いて同様の反応を行ったところ、不斉収率を損なうことなく収率80%で目的物が得られた。反応残渣への金属ロジウムの浸出は2.1 ppmであり、これは反応に使用した錯体の0.013%に相当する。また、本フローリアクターは60時間の連続使用に耐えることが判明した。 以上の結果は、今回の担持法がRh(II)錯体の不斉反応場にほとんど影響を与えていないこと、及び本不溶性高分子担持型Rh(II)錯体が高い耐久性を持つことを示している。
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Research Products
(10 results)