2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24790004
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
松本 洋太郎 帝京大学, 薬学部, 講師 (90420041)
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Keywords | 芳香族求核置換反応 / 量子化学計算 / マイゼンハイマー型中間体 / 構造最適化 / 位置選択性 / SNAr / 反応機構解析 / 遷移構造 |
Research Abstract |
芳香族求核置換反応を理論的に解明する目的で、最終年度では高精度量子化学計算を用いて詳細な反応機構解析を行った。前年度では反応中間体と考えられているマイゼンハイマー型中間体の検証を高精度量子化学計算を用いて行ってきた。その結果、高度に安定化された特殊な構造でしかマイゼンハイマー型中間体が存在しえないことを示してきた。また、これまでにX線結晶構造解析やNMRなどの分光学的手法で確認されている中間体について、計算においても安定に存在するという事実と一致する結果を得た。最終年度では前年度の結果を踏まえ、反応の遷移構造探索と反応座標解析を行った。芳香族求核置換反応のモデルとして、π電子欠如系芳香環としてクロロピリジン、求核試薬として金属メトキシドを設定し、計算を行った。過去に報告されている理論計算の先行研究では対カチオンの効果を考慮していなかったが、求核試薬の対カチオンが基質との相互作用や反応遷移状態において重要な役割を果たすことを明らかにした。続いて、反応の位置選択性発現の要因を明らかにするために同手法を用いて遷移構造や活性化エネルギーの比較を行った。求められた活性化エネルギーの違いは既知の選択性の実験事実と一致し、計算化学によって活性化エネルギーを見積もることで反応選択性の予測が可能であることを示唆した。しかしながら、エネルギー差は大きくなく、溶媒の考慮や計算レベルを含めた更なる反応モデルの最適化の検討を行っている。
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