2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24790006
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松村 有里子 東京工業大学, 生命理工学研究科, 講師 (10439507)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 光線力学的療法 / ESR-スピントラッピング法 |
Research Abstract |
光感受性物質を介して発生する一重項酸素が光線力学的療法において腫瘍組織の死滅に最も重要な役割を担っている事が示唆されている。しかし、一重項酸素を直接定量する手段は少なく、そのメカニズムは不明である。本研究では光線力学的療法において発生する一重項酸素およびその他の活性酸素種を、各活性種に対するスピントラップ剤をそれぞれ用いて、ESRスピントラッピング法により、光感受性物質の一つであるプロトポルフィリンIX(PpIX)を光照射して発生する一重項酸素およびその他の活性酸素種の同定および定量を行う。さらに、癌細胞を用いた各活性種の定量と化学発光法による発生位置の可視化を行うことで、光照射で発生するフリーラジカルの影響を勘案して癌細胞死滅メカニズムの解明にせまる。 平成24年度は、PpIXへの光照射で発生する一重項酸素とその他の活性酸素種(ヒドロキシルラジカル、スーパーオキシドアニオンラジカル、過酸化ラジカル)に関する基礎的データの収集を行った。一重項酸素の定量には、TEMPOLをラジカル定量の標準物質として用いて、PpIXにスピントラップ剤共存下で光照射を行い、本系における一重項酸素定量に最適なスピントラップ剤を決定するとともに、PpIX濃度、光照射時間、および光照射強度と一重項酸素発生量との関係を求めた。その他の活性酸素種は、DMPOをスピントラップ剤として用い、同様の条件下でESR測定を行うことで評価した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
活性酸素種の特定および定量についてはおおむね順調に研究を進めることができたが、 活性酸素の消去剤存在下での定量を行うにあたり、当初予定していた消去剤では消去能が不足しており、 新たな活性酸素消去剤の探索を必要としているため、予定よりやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、新たな活性酸素消去剤の探索を行うとともに、市販の一重項酸素検出蛍光プローブとPpIXを種々の組成で混合してDMPO存在下でPpIX濃度および光照射時間と一重項酸素発生量との関係を求めてESR測定結果と比較検討することで、ESRスピントラッピング法を用いた定量方法の有効性を評価するとともに、ガン細胞を用いたin vitroでの活性酸素種の検出および定量実験に着手する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
活性酸素の消去剤存在下での定量を行うにあたり、当初の予定よりやや遅れており、一重項酸素検出蛍光プローブを用いた実験に着手できていないためこの実験に関する研究費が未使用である。平成25年度に活性酸素の消去剤存在下でのESR実験および一重項酸素検出蛍光プローブを用いた実験も行うため、未使用額も平成25年度に使用する。
|
Research Products
(1 results)