2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24790006
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松村 有里子 東京工業大学, 生命理工学研究科, 特任講師 (10439507)
|
Keywords | 光線力学的療法 / ESR-スピントラッピング法 |
Research Abstract |
光感受性物質を介して発生する一重項酸素が光線力学的療法において腫瘍組織の死滅に最も重要な役割を担っている事が示唆されている。しかし、一重項酸素を直接定量する手段は少なく、そのメカニズムは不明である。本研究では光線力学的療法において発生する一重項酸素およびその他の活性酸素種を、各活性種に対するスピントラップ剤をそれぞれ用いて、ESRスピントラッピング法により、光感受性物質の一つであるプロトポルフィリンIX(PpIX)を光照射して発生する一重項酸素およびその他の活性酸素種の同定と定量を行う。さらにガン細胞を用いた各活性種の定量を行い、光照射で発生するフリーラジカルの影響を勘案してガン細胞死滅メカニズムの解明に迫ることを目的としている。 平成25年度は各活性種の消去剤を用いて一重項酸素およびその他の活性種が発生するメカニズムについて検討を行うことで、光照射時における癌細胞死滅に係る活性酸素種として一重項酸素が主原因ではない可能性を示唆した。また、ヘム生合成過程で生成されるPpIXの前駆体である5-アミノレブリン酸(ALA)共存下で細胞培養して内因性PpIXが細胞内に蓄積したガン細胞および正常細胞を用いて、光照射時に細胞周囲に発生する活性酸素種の定量を行い、内因性PpIXの蓄積されたガン細胞からヒドロキシルラジカルが多く生成される事から、ALA共存下で培養する事により細胞の特性が変化していることを示唆した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は当初予定していた消去剤では活性酸素消去能が不足しており、研究がやや遅れていたが、生体内に存在する成分を消去剤として使用する事で早期にこの問題を解決することができ、交付申請時の昨年度の研究計画を順調に進めることができた。当該年度に予定していた研究計画の中でin vitroでの実験開始時期が予定より遅くなったものの、本研究はおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度に引き続きALAで培養した細胞を用いて、光照射時に生成する活性酸素の定量を行うことで、光照射が細胞周囲に及ぼす影響について検討するとともに、細胞内の活性酸素種の同定および定量に着手する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
in vitroでの実験開始時期が当初の予定より遅れたため、物品費に関して次年度への繰り越しが発生した。また、論文執筆が遅れているため校閲費および学会誌投稿料に次年度への繰り越しが発生した。 平成26年度に主にin vitroでの実験を行うとともに論文執筆および投稿を行うため、昨年度の未使用額も平成26年度に使用する。
|