2013 Fiscal Year Annual Research Report
ピリジン環の還元的アシル化を基盤としたキノリジジン骨格構築法の開発と全合成
Project/Area Number |
24790010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塚野 千尋 京都大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (70524255)
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Keywords | 合成化学 / 有機化学 / 天然物 / 全合成 / アルカロイド |
Research Abstract |
本研究では、ピリジンの窒素原子を活性化してアシルピリジニウムカチオンとした後、還元剤での処理でジヒドロピリジンを得る反応を基盤としたキノリジジン骨格構築法について検討している。具体的にはカルボン酸をGhosez試薬により酸塩化物へと変換し、分子内のピリジンの求核攻撃によりアシルピリジニウムカチオンを得る。本化学種は不安定であるため、単離することなくHantzschエステルで処理して、ジヒドロピリジン構造を持つキノリジジン骨格を合成する。この構造を足がかりにすれば、得られた化合物は多置換キノリジジンへと変換可能であると推測される。 本合成戦略の有用性を示すために、キノリジジン骨格を2つ含む四環性アルカロイドsophoramineの全合成研究を展開している。Sophoramineは抗腫瘍活性を示すことが報告されているが、天然からの供給が少ないため、生物活性発現機構は詳細に検討されていない。平成25年度は、昨年度確立した合成経路での全合成についてまず検討した。すなわち、ビリピジル構造を有する基質から、ピリジン環を置換基に持つキノリジジン骨格を合成し、さらに、パラジウム触媒反応により一炭素(エステル)ユニットを導入した。このエステルの還元について種々検討したが、目的のアルコールは得られなかった。また、本合成経路は、各工程の収率が中程度にとどまったため、別の合成ルートについて検討した。保護されたヒドロキシメチル基をピリジン環上に持つ基質より開発した合成戦略を用いて、キノリジジン骨格を構築した。続いて、エノールトリフラート経由でピリジン環を導入し、最後に接触水素化により望みの立体化学(all-syn)を有する二置換キノリジジン骨格の構築に成功した。これまで本骨格の立体化学を制御した合成は難しかった。また、合成した中間体はsophoramineの類縁体の合成中間体にもなりうるため、有用である。(本成果はSynlett, 2014, 25, 653-656にて発表した。)
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Research Products
(5 results)