2013 Fiscal Year Annual Research Report
プロパルギルエステルの連続的環化反応を活用した高度置換生理活性分子の合成
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24790013
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉田 昌裕 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (10344681)
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Keywords | 連続反応 / 環化反応 / パラジウム / プロパルギル化合物 / 求核剤 |
Research Abstract |
プロパルギルエステルと求核剤を用いた連続的環化反応の展開として、窒素原子を導入したβ-エナミノエステルを求核剤として用いた検討を行った。その結果、パラジウム触媒存在下プロパルギルエステルとの反応が進行し、相当する四置換ピロールが得られることを見いだした。本反応の特長として、様々な置換基が導入された反応基質を用いることで、多様な置換様式をもつ四置換ピロール 7 がワンポットで合成できることが挙げられる。また既存の合成法では合成困難、もしくは不可能とされてきた置換ピロールを容易に合成可能であることも特筆すべき点である。更に本反応を活用し、ピロール骨格をもつ抗癌剤スニチニブの合成中間体の効率的合成に成功した。 またプロパルギルエステルを用いたパラジウム触媒反応の検討過程において、オルト置換ビニルフェノールを求核剤として用いると、σ-プロパルギルパラジウムに対するフェノールの求核攻撃、続く生じたビニルアレン 4 の[2+2]型の環化付加反応が連続的に進行し、四員環を含む三環性化合物が一挙に得られることを見いだした。これまでσ-プロパルギルパラジウム中間体に対するソフトな求核剤の反応についてはほとんど報告されておらず、本反応はプロパルギルエステルの新しい反応性を開拓した新規連続的環化反応である。本反応は用いる基質に制限があるものの、高度に官能基化された環化体を一挙に得られることから、今後有機合成への応用が期待される。 以上のように今回申請者はパラジウム触媒存在下におけるプロパルギルエステルの特異な反応性に着目し、高度に官能基化された様々な環状化合物を連続的環化反応により一挙に構築することに成功した。
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